君が心の妻

劇場公開日:

解説

川内潔志の原作を、「地下街の弾痕」「大江戸七変化」の柳川真一が脚色し、「今宵別れて」「母の調べ」などの高木孝一が監督している。出演者は「裸女の愁い」の花柳小菊、「千里の虎」の喜多川千鶴、「殺陣師段平(1950)」の月丘千秋、「新妻の性典」の宇佐美諄などが出演している。

1950年製作/82分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1950年10月7日

ストーリー

北原信子は、孤児であったが、お蝶という養母に育てられ、流行歌手として、成功した。その新作発表会の夜、お蝶の口から、実は彼女の実父が生きているということを聞かされた。父は、やがて、レコード会社の社長に就任する大沢信作で、小唄の菊丸として人気のあった信子の母を、身ごもらした上、捨て去ったのだと、その当時のいきさつを聞かされた。信子はお蝶の言葉をそのまま信じ込んで、大沢とその娘真佐子憎しの一念に燃えた。真佐子が、信子のヒット・ソング「涙のブルース」の作曲家志村聖一に、秘かな思慕の心を寄せているのを知ると、志村を真佐子に近づけまいとあらゆる手段を尽して志村を自分へ引きつけようとした。志村が交通事故で負傷をして入院すると、信子は病院へ駆けつけて看病をし退院をすると、その家へまで押しかけて、一歩も真佐子を寄せつけまいとした。しかし、大沢信作と菊丸との悲恋の真相は、お蝶が当時の菊丸の様子で察していたものとはよほど食い違っていて、信作は、毛頭菊丸と別れる気がなかったのに、菊丸が信作の将来を考えて、身を引いたものであった。信作は、そうして姿を消した菊丸の行動を自分への裏切りだとばかり思い込んで永い年月を暮して来たのであった。菊丸が旅先で淋しく死ぬとき、菊丸一座の座長をしていた村木が、彼女がずっと記していた日記を手に入れていて、それを成功した信作に買い取ってくれと言って持って来たことから、信作は菊丸の真情と、自分との間に信子という子供のあることを知った。信子の執拗な誘惑を逃れて志村は白浜へ来ていたが、そこへも信子とお蝶とは追って来た。真佐子も父に勧められてやって来たが、ここでもお蝶の巧言に操られ、信子と志村とが結婚するものと信じ、絶望した身を海へ投げる。駆けつけた大沢から、母と信作との間の真相を知らされ、母の日記を見るに及んで、信子は自分がいかにひねくれた気持で生きて来たかを悟り、父と妹への愛情に目覚めた。真佐子は幸い一命が助かり、信子は志村と真佐子との愛情が育つのを祈りながらステージに生きる決心をするのだった。

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