女性対男性

劇場公開日:

解説

太泉スタジオの石川定一と芸研プロの「地獄の笛」の岩井金男の協同製作で、石川達三原作の『心の虹』より、「妻の部屋」の館岡謙之助が脚本を執筆。監督は俳優の佐分利信の第一回作品である。撮影は「地獄の笛」の永塚一栄の担当。主演には「花の素顔」「花も嵐も」の木暮実千代、「初恋問答」の佐分利信の他、「東京無宿(1950)」の山村聡、「銀座三四郎」の飯田蝶子らが助演する。

1950年製作/83分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1950年3月14日

ストーリー

坂口喜久子は、耳鼻咽喉科坂口医院の院長で、彼女の夫は区役所の出張所に勤めていた。家族は、官庁に勤めて少しヒステリック気味の妹ののり子と、悪くませた学生の弟敏之、それから母親のとね、自分のものと他人のものとの見境のつかない看護婦のテルがいたが、その五人の生活の責任を負わされているのが、喜久子であった。彼女はどちらかといえば勝手気ままな暮らしぶりを好む性格で、出勤前の夫に向かって用事をどしどし言いつける性分であった。しかし清三郎は妻の喜久子に何んといわれても反対したことがなく、のり子や敏之が「お人好しもここまでくると悲劇だ」と慨嘆する位である。こんな人柄であるだけに、役所でも近所でも清三郎を支持する人は多い。こんな生活の中で喜久子はくさくさしていた。とある日、実業家の榎本が病気になってから喜久子の日曜日の外出が度重なって派手になっていった。また榎本に対する看護は親身も及ばぬ程つくした。これを知って妹弟達は喜久子の妻たる横暴を非難したが、相変わらず夫の清三郎は「喜久子はそんな女じゃない」と否定していた。しかし清三郎は「あたし浮気をしているのよ、いやもしかしたら本気よ、あんたと別れるかも知れないよ」と宣言されたことを思い出し、悩む日が続いた。一方喜久子は榎本の全快につきそって湯河原まで同行することになり、二人は出かけた。こんな時にちょうど清三郎は区会の選挙期にあるのを幸い立候補を決意した。落選しても坂口医院の宣伝にもなるからと喜久子は選挙費を出した。そして準備にとりかかった。喜久子は榎本と同行して苦情を打ち明けて本気で彼に食い下がったが、相手は全然とりつかなかった。みぞれ降る日東京へ帰ってきた彼女は、濡れそぼれて演説する夫清三郎の姿を見た。喜久子の目からじーんと熱いものが出てきた。その日から喜久子は変わった。彼女は夫の深い愛情をしみじみと味わい且つ悟った。「風邪ひくよ」とそっと夜具をかける夫清三郎をみつめる彼女の目からぽつりと涙がしとねに落ちた。

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