大学の門

劇場公開日:

解説

田村泰次郎の原作(「サンデー毎日」連載中)を「かけ出し時代」の永見隆二「誰か夢なき」の木村千依男が協同脚色した。製作は「九十九人目の花嫁」「幸福への招待」の筈見恒夫と「浮世も天国」「見たり聞いたりためしたり」の野口久光。「九十九人目の花嫁」に次ぐ佐藤武の演出。キャメラは「見たり聞いたりためしたり」の山中晋、音楽は「誰か夢なき」「飛び出したお嬢さん」の服部正の担当。キャストは殆どニューフェイスで占めている。

1948年製作/80分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1948年2月19日

ストーリー

大学、それは真理探求と人間形勢のために現実から垂離した一部特殊な人間、つまりは学徒と称する者のみに許された理想の世界であろうか。そういう時代が昔あったかも知れない、だが今それは夢物語。この大学でも冷酷な敗戦の現実が強大な力でおいかぶさって来ている。法学部の学生海野、松崎、工藤、秋本、吉岡、小畑、山下、それに女子の圭子、利恵、みどり、春代たち、ほとんど皆が何かしらアルバイトをやらないと学生としての存在が明日から直ちに否定されてしまうのだ。海野と松崎は荷役仕事の重労働でかろうじて学生としての生活を成り立たせている。その海野は妙な機会から圭子と知り合った。圭子は同じ戦地で戦死した先輩真野信吉の妹だというのだ。寄遇であった。圭子は海野の下宿を訪問し、同じ部屋の松崎とも知り合った。そして彼が組織している“社会科学研究会”のグルウプに彼女も入ることになる。圭子のアルバイトはキャバレーのダンサーだがこれは誰にも隠している。やはり研究会のメンバー秋本とみどりは教会で子供達の先生、工藤は最近ヤミ屋とちょいちょい付き合い出したし、山下は学業よりもヤミ商売に本腰を入れている。松崎は以前から懐疑的だった。のほほんとこの矛盾に満ちた学生生活を続けていく意義がどこにある、彼は学校をよして政治運動に突入することにした。真理は実践によって掴むのだ。それと同時に彼女も掴んで行こう。フト彼の目の前に現われた圭子がもはや彼の胸の中にしっかり食いついて離れない。松崎は自分と行動を共にするべく圭子を誘った。圭子は驚き迷った。闇の女狩りにひっかかった圭子のアルバイトを知り海野も圭子の身を案じて適当な仕事を探し出した。学校をやめてはいけない、と海野はこう言うのである。ところがその海野自身、田舎の家のことで学校をやめなければならないハメになった。年老いた母一人に苦労させて学校なんぞに行っていられるものか、彼は決心した。だが彼の母は偉かった。社会のために有用な人間になれ、どんなことがあっても最後まで学校をやめてはいけない、彼は涙と共に学校に帰った。圭子もその母親の話を聞いた。そして大学総長の力強い訓示。「学徒が学徒である間、自己の使命を放棄して時代の潮流に押し流されるならば、誰がこの崇高な使命を果すのか、諸君以外にはない」海野も圭子も、それから他の学生たちも卒業の日までお互いに励まし合い頑張る覚悟をしっかり腹に決めたのである。

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