孤独の人

劇場公開日:

解説

皇太子に青春を、と数々の話題を捲き起した藤島泰輔原作“孤独の人”の映画化で中沢信が脚色、「しあわせはどこに」の西河克己が監督する文芸篇。撮影は「飢える魂」の高村倉太郎。皇太子には全国の応募者から選ばれた黒沢光郎が扮し、「人間魚雷出撃す」の津川雅彦、芦川いづみ、「お転婆三人姉妹 踊る太陽」の青山恭二、大坂志郎、「月蝕」の月丘夢路、中川晴彦、「若の花物語 土俵の鬼」の坂東好太郎などが顔を揃える。

1957年製作/82分/日本
配給:日活
劇場公開日:1957年1月12日

ストーリー

皇太子が籍を置く学修院高等科三年。千谷吉彦は皇太子を勢力争いの道具としか考えない学友達に反撥を感じている。彼の親友岩瀬徹はバンカラ派だが、吉彦と同じく、殿下を何とかして人間らしい皇太子に戻そうと考えていた。吉彦の生活は荒れていた。叔母にあたる東大路朋子との交際もその一つ。二人の関係に気附いた両親に叱責されるほど、吉彦は反抗を試みる。岩瀬にも秘かな恋人がいたが、彼はその名を語ろうとしない。懸案の修学旅行は奈良行き。大げさな歓迎ぶりの一方、殿下の信任厚い京極や舟山らが殿下の傍で新聞社のフラッシュを浴びる姿に、吉彦や岩瀬は鼻持ちならぬものを感じる。だがある夜、鳥羽頼子の写真に眼をとめた殿下の様子から、吉彦らは牧場での遠乗りで殿下と頼子を会わせようと計画する。頼子は快諾。だが徳大寺侍従の反対で、彼等の冒険も失敗に終る。絶望的な気持に駆られ、朋子と痛飲する吉彦。そうした彼に、岩瀬は始めて自分の恋人を語る。少女の名は淳子、葉山海岸でたまたま出会ったのだが、彼女の自分に対する気持が殿下の学友への畏敬の念に過ぎぬと知り、言い知れぬ感じに襲われたと苦悩の色を見せて語る。その頃、殿下と頼子の一緒の写真が、某週刊誌に出た。京極らの詰問の結果、犯人に擬せられた吉彦は怒って京極と一対一で対決、犯人でないと認めさせるが、殿下のため多少の犠牲は止むを得ぬという京極の言葉に唖然とする。ある夕暮、岩瀬は遂に仲間達と、殿下を寮から連出すのに成功した。朋子と連れだった吉彦は銀座で一同に会い、ついにやったと、涙の浮ぶのを覚える。その夜、大夫や学生主任栗本教師から叱責された岩瀬は「俺は殿下のためにやったんだ」と号泣しつつ叫んでいた。

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