魔の花嫁衣裳(前後篇)

劇場公開日:

解説

雑誌宝石に連載された高木彬光原作“復讐鬼”の映画化。財産を狙う陰謀のため死の寸前迄追いこまれた富豪の青年が復讐の鬼と化して陰謀派を倒してゆくという怪奇探偵活劇である。脚色は「逆襲獄門砦」の高岩肇、監督は「高校卒業前後」の新進浜野信彦が担当した。撮影は「無法者の島」の渡辺公夫。主な出演者は「屋根裏の女たち」の船越英二、先頃カンヌ映画祭に出席した「女中さん日記」の矢島ひろ子と、新人南左斗子、「火花」の高松英郎、「刑事部屋」の北原義郎など。

1956年製作/日本
配給:大映
劇場公開日:1956年7月12日

ストーリー

前篇--一代にして巨富を築いた朝比奈巌は十数年前、松楓閣と呼ぶ彼の邸から姿を消し、長男福太郎も蛭田貞子との結婚式の夜、失踪した。福太郎の弟寿は家督をつぐため兄の妻貞子と結婚することになり、その夜、邸には貞子の叔父で顧問弁護士の蛭田一峰夫妻と息子良次、貞子の妹あき子の夫半田又男、主治医岩佐、寿の妹操と親友川島らが集った。だが雷雨の中に始められた結婚式は奇怪な髑髏の出現で中止された。髑髏の主は、この家の爺や哲次郎の孫で狂人の俊吉と判ったが、新婦貞子も鎮静剤と思ったコップの毒で毒殺寸前迄追いこまれた。事件解決に悩む川島は悠子刀自に渡された古文書から奥伊豆に匿された莫大な黄金の所在を発見した。しかし刀自も心臓の発作で急死する。こうした或る日、寿は秘密の地下道で密会する最愛の妻貞子と直次の姿を見、併せて地下道に横たわる二個の白骨から朝比奈家の財産乗っ取りを企てる蛭田一派の陰謀を知った。復讐を決意した寿は貞子を誘って伊豆の屏風岩へドライブに出かけ、彼女を断崖へ誘い出して一味への復讐を宣言し、貞子を突き落そうとした、だが、そこに現われた直次の拳銃に寿は崖際へ追いつめられ、一瞬足をふみすべらせて断崖から転落した。 後篇--屍風岩から転落した寿は危く一命をとりとめ、且つ先祖の秘めた莫大な黄金を其処に見出した。二年後、今は白髪の復讐鬼と変じた寿は、ブラジルで成功した億万長者五十嵐幹彦と名乗り羽田空港に降り立った。彼は寿の腹ちがいの兄という触れこみで川島を秘書に雇い、復讐の計画を進める。一方、松楓閣を歓楽場と化して願望成就に酔いしれていた貞子は、帰国の目的は花嫁探しと噂される五十嵐に又もや野望を抱き始めた。だが、或る日、五十嵐を邸に招待した貞子は、寿と瓜二つの彼を見て恐怖を覚える。一方、蛭田一派の毒牙を逃れてテレビ歌手となった操は、突然、元支配人の亀山に襲われるが、亀山はその場に現れた白髪鬼に射殺された。五十嵐の許に匿われた操は、貞子らが送り届けた爆弾の小包に危く死を脱するが、この間、岩佐医師も白髪鬼に殺害される。やがて、今はメイプル・クラブと名を変えた松楓閣で行われた一週年記念パーティ。事件の関係者が総て打ちつどう中に覆面歌手として登場した操を直次の拳銃が狙う。だが一瞬、操はそこに現われた白髪鬼に救われ、且つその正体を知った。親友の身を案ずる川島の心遣いも空しく、今は仮面を脱いだ寿は貞子を誘拐し、医師出光の協力で彼女の顔を二目と見られぬ醜怪な老婆の容貌に変え、メイプル・クラブに送った。驚いた蛭田一峰と直次は寿の手で地下道に生埋めとなり半田は射殺される。寿は椅子に縛られている操を迎えに来るよう川島に電話し、精神分裂の注射で虚脱した花嫁衣裳の貞子を伴い伊豆の屏風岩へ急いだ。寿の決意を知り、その場へ駈けつけた川島と操の眼前で、寿の車は真一文字に断崖から転落して行った。

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