劇場公開日 1956年5月3日

雑居家族のレビュー・感想・評価

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3.5☆☆☆★★★ 原作は壺井栄だが未読。簡単に。 轟夕起子主演の(或る...

2018年11月17日
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☆☆☆★★★

原作は壺井栄だが未読。簡単に。

轟夕起子主演の(或る意味)母モノ映画。

女流作家の轟夕起子は、夫の織田政雄共々。自他共に認めるお人好し夫婦。
いつの間にか他人の子供を預かってしまう、その可笑しさ。

ここに、左幸子1人転がり込んで来るだけでも厄介なのに。気がつくと、好き勝手にやって来るのが伊藤雄之助。
もう作品の中での笑いどころの7〜8割位は、この伊藤雄之助が、再三再四と絡んで来るところ^_^
まさに怪演で、稀代の怪優伊藤雄之助ここにありと言うに相応しい!

左幸子は。現代に置き換えてもいそうな身勝手な感じで、映画の冒頭で登場する。
それが、自分の身に降りかかった事柄から悩みを抱え込む辺りから、感じ方が変わって来る。
初めの内は。轟夕起子が左幸子に対して叱責する言い分に、観客側は共感するのに。その事柄が判明し、更に追い討ちを掛ける叱責に。逆に轟夕起子に対して、観客側が苛々し始める様に脚本は構成されている様な気がして来た。
脚本は田中澄江。

長女役には新珠三千代。
伊藤・左に振り回されながらも、段々と増え続ける家族。絶えず苛々を募らせる轟夕起子(気持ちを落ち着かせる為に花を買うのが可笑しい)に変わり、この家族を底辺から支えている。
そんな彼女にも、悲しい悲恋に終わった過去が。
突如放り込んで来る空襲場面。
映画が公開された1956年は昭和31年。
《もはや戦後ではない》と言われた時代でも有る。
それだけにこの場面は。映画全編を通して観ても、かなり唐突と感じるのですが。原作未読の為に、元々描かれているのかは不明。ひょっとして、脚本家田中澄江がどうしても挿れたいと思っての事なのか?…も不明。

映画の中程では田中絹代が登場。
轟夕起子との2ショットは、映画フアンならば夢の様で。単なるゲスト出演的だったのは残念だったものの、感激しきり。

古い日本映画を観る際の楽しみとして、製作当時のロケーション場面で見られる風俗描写。
この作品の舞台となっているのが、都内近郊で小田急線沿線。
この家族の住む家の近くには、川が流れている事から、この川は多摩川だろうか?
そんな街並みの、現代との違いを見られるのが、また魅力の1つでも有る。

2018年11月16日 国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU / 旧 国立近代美術館フイルムセンター大ホール

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