弥太郎笠（1960）のレビュー・感想・評価

これは素晴らしいわ。流石に錦之助ファンから多くの支持を受けている作品に相応しい内容。

祭りに始まり、祭りに終わる。その舞台設定の素晴らしさもあるが、股旅物らしい情感に溢れたマキノ雅弘監督の演出力が半端じゃあ無いですね。
特に、祭り用の提灯に男女の感情を盛り込んで心情を表す等は、何度も映画化されている内容とは云え素晴らしいの一言。これに縦横無尽に動き回り役者の一挙手一投足を逃さんとする三木滋人さんの素晴らしい撮影。
もう並みの傑作を飛び越えてますね。

だから錦之助が怒りを抑えに抑えて最後の最後に爆発させる。その場面を観ていると、身震いがする程まで気持ちが入り込んでしまい。スクリーンを見つめながら最初から最後までこちらのテンションは上がりっぱなしでした。
中でも、大八一家に1人で殴り込みをかけ、更に各飯場にも出向いて行く場面なんか、もうめちゃめちゃ格好良いのなんの。これぞ錦之助！と痺れましたね。

但し1つだけラストがあっさりと終わってしまうところだけが残念至極なんですが。

決して完璧じゃ無いだけに愛おしい作品ですね。