馬賊やくざ

劇場公開日:

解説

紙屋五平の原案を、「博奕打ち 総長賭博」の笠原和夫と、「任侠 魚河岸の石松」の高田宏治が共同でシナリオ化し、「人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊」の小沢茂弘が監督したアクションもの。撮影も「博奕打ち 総長賭博」の山岸長樹。

1968年製作/91分/日本
原題:The Bandits
配給:東映
劇場公開日:1968年5月21日

ストーリー

昭和七年満州国誕生。日本軍部の大陸侵攻政策は一段と積極的になっていた。その一方で、日本の民間諜報機関が阿片売買人の利権に群がっていた。そんな時、九州の侠客南は幼な友だちの関東軍参謀赤木中佐に呼ばれ、大陸に渡った。しかし、赤木は諜報機関員を装った桜井に殺されてしまったのだ。南は、桜井が実は関東軍とつながる死の商人で、満州全土に阿片ルートを張りめぐらしていることを探り、赤木の復讐を誓った。そんな南に、軍の犯罪を調査する三木憲兵中尉、車夫の陳、元馬賊の高山らが協力した。南は阿片密売所の中央公司に探りを入れ営口に本拠があるのを突きとめた。一方、桜井ら機関員は途中、南一行を襲ったが、南たちはその危機を切り抜け、無事、営口に降りた。ところが、たまたま、あとをつけてきた馬賊張鳴九を捕らえた南たちは、逆に馬賊の一団の捕虜になってしまったのだ。この馬隊は抗日ゲリラの一団で、陳もその仲間だった。馬賊の頭領は、意外にも、日本の大尉に手篭めにされようとしているのを、南が助けた王麗花だった。また、高山が麗花の亡父の親友だったことから、南たちは釈放された。再び営口に戻った南たちは、阿片の出所を探しもとめるうちに、水明飯店で大きな取り引きがあるという情報をつかみ、厳重な警戒網の中を水明飯店に忍び込んだ。南は、裏庭にある酒蔵に目をつけて入ってみると、そこにはおびただしい量の阿片が山積みになっていた。南はただちに酒蔵の爆破を図ったが、高山がその犠牲になってしまった。そして南たちは、この騒ぎで駆けつけた桜井一味と、激しい拳銃戦を交え、軍とつながるこの一味を全滅させてしまった。南も三木も軍に愛想をつかし、赤木中佐の仇をとったあと、麗花たちのいる馬賊に加わるべく、草原の彼方に姿を消していった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0アヘン販売は関東軍の政策だった。

2021年5月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

本作ではまるでアヘン販売が一部の軍人と悪徳商人が私欲のためにやっているかのように描かれているが、事実は関東軍総司令官以下が関与する軍事費ねん出のためのれっきとした政策として行われていた。したがってこの作品のように正義感から権力に抗してアヘン販売を阻止しようとするなど当時の社会感覚からあり得ないことだった。特にアヘン販売に積極的に関与したのは東条英機関東軍参謀長、岸信介満州国総務庁次長とアヘン王として名高い里見甫だった。東条と岸がのちに総理大臣にまで上り詰めることからも当時のアヘン販売が国家的な事業であったことがわかる。といった背景は抜きにして、この作品の出来はお世辞にも傑作というにはほど遠い。ストーリーが全くでたらめで登場人物それぞれの行動に必然性が認められないのだ。鶴田浩二が九州のヤクザである必要もなければ、馬賊の女頭目が日系ホテルでウエイトレスをやる必然性もない。タイトルの馬賊の登場シーンもショボいものでこれで「馬賊ヤクザ」などとよくも名乗れたものだとあきれるばかり。ただ評価は今は既に物故者となってしまった懐かしい顔ぶればかりだったので星二つとさせてもらいました。

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tekonon
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