伊豆の踊子(1963)

劇場公開日:

解説

川端康成原作四度目の映画化で、「若い人(1962)」の三木克巳と西河克己が共同で脚色、「雨の中に消えて」の西河克己が監督した文芸もの。撮影はコンビの横山実。

1963年製作/87分/日本
原題:Love Comes with Youth
配給:日活
劇場公開日:1963年6月2日

ストーリー

若葉が美しい伊豆の街、修善寺を発った一高生の川崎は旅芸人の一行と連れになった。一座は大島の人で四十女を中心に男一人と若い女の五人づれ、川崎に可憐な笑顔を向ける踊子は一ばん年下のようである。下田まで同行する約束をして湯ケ野に着いた夜、川崎はお座敷へ呼ばれている踊子達のざわめきを聞くと胸が騒いだ。しかし翌日彼は、病気で寝ている酌婦のお清を慰めたり子供達とかくれんぼをして遊ぶ踊子が、まだ汚れを知らぬ子供と知った。踊子はその一日を川崎と遊び夜は仕事のあと彼に本を読んで貰った。翌朝、出発をのばすという一座と行を共にした川崎は、男の語る淋しい身上話を聞いた。一行は自分の妻とその母、年下の踊子はカオルといい十四で自分の妹、こんなことをさせたくないが事情あってのことという。一行と川崎は急速に親しくなり、踊子は強引に川崎が大島に来るという約束までさせてしまった。踊子が川崎を強く慕い始めたことに母親は気付いていたが、叱るでもなかった。翌朝下田へ向う道、山の中で川崎と踊子は初めて二人きりになったがドギマギしている間に時はすぎた。下田へ着き、川崎は最後の思い出にと踊子を映画に誘ったが、母親は許さなかった。これが二人の心の傷を深めるだけで所詮どうしようもない恋であると判っていたからだ。翌朝早く、川崎は下田の港に出かけた。送りに来た踊子は何を話しかけても黙ってうなずくだけだった。川崎の出船を見送る踊子は、船が遠く離れると懸命にハンカチを振った。彼の眼は踊子をみつめたまま急にうるんだ。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5純愛映画としてとてもよい。原作とは異なる作品。

2023年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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ねりまっくま

4.0吉永小百合がとても美しい

2023年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

川端康成原作の、淡い恋心と悲しみと喜びの物語。
OPの歌のタイポといいすごい古き良き時代って感じです。
また吉永小百合がとても美しく、無垢な踊り子をそのまま演じていました。
作品はモノクロでスタートして、途中回想に切り替わる展開にはびっくりしました。
原作にアレンジを加えた演出なんでしょうけど、色調も現代らしくカラーになる構成は実にうまいですね。
淡い恋の物語、すごい良い作品でした

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白波

4.0川端康成の文学の世界を再現する それだけでなく現代パートとの対比で伝えようとした監督のメッセージこそが主題だったのです

2020年8月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ノーベル賞作家川端康成の初期の同名小説の映画化
特に人気があり6度も映画化されています
本作は4度目の映画化
テレビやラジオでも、アニメでもドラマ化されているようです

映画での主演はこのような顔ぶれ
田中絹代、美空ひばり、鰐淵晴子、吉永小百合、内藤洋子、山口百恵

その当時の若手随一の演技派、超人気歌手、超美形という若き注目女性が現れると、企画される題材ということかと思います

吉永小百合はその条件を全て満たしているので、本作主演は当然かと思います

本作はほぼ原作に忠実ですが、大きく違う点が一つあります

現代からの回想で40年昔の思い出を振り返る構成になっていて、冒頭とラストシーンのみ1963年の現代になっています
しかも現代は白黒、回想の本編が美しいカラーになっています
現代に登場するのは主人公の40年後、大学の教授となって老人になった私です
宇野重吉が枯れ果てた老人を演じます

現代の主人公の無味乾燥な日々が白黒で表現されています
そこに教え子の大学生とダンサーという現代の踊り子の吉永小百合が、結婚したいと登場して、主人公の回想のシーンに変わり、色鮮やかなカラーになるのです
失われた青春の美しい日々の色彩の美しさです

この構成をとるのは何故か?
宇野重吉を登場させるのは何故なのか?
当時と現代との比較で、過去の差別的な社会構造を感じて欲しいということ
それが本作での監督の主張であるのだと解釈しました

だから、夢で踊り子が汚されるシーンだけでなく、それが現実になるかもしれないという暗示のシーンを追加しているのだと思います

1986年の大ヒット曲「天城越え」
カラオケやスナックでお姉さんがよく歌ってるあの曲は本作とは関係ないのですが、舞台は同じです
天城越えの九十九折り、天城隧道、新緑の伊豆の山々、谷の美しいシーンが楽しめます
但し滝はでて来ますが、浄蓮の滝は登場しません

吉永小百合は出演当時18歳
踊り子は16歳、今の高校1年生の歳
まだ無邪気な子供の部分を沢山残しているという役所はそのまま表現できています
何より目が彼女に吸い寄せられるのは間違い無いところです

現代パートの交差点は駿河台下です
すずらん通り入り口のアーチの端っこだけ写ります

現代パートの吉永小百合が、あっけらかんと大学生と交際し結婚できる幸せそうな姿
身分の違いとかを全く考えることも無い社会が実現されたのだ
(本当に?)
それが宇野重吉が出演している意味だったと思いました

川端康成の文学の世界を再現する
それだけでなく現代パートとの対比で伝えようとした監督のメッセージこそが本作の主題だったのです

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あき240

3.5・16ってこんなに無邪気なんだなぁ。純粋無垢を体現してた ・たった...

2019年7月24日
iPhoneアプリから投稿

・16ってこんなに無邪気なんだなぁ。純粋無垢を体現してた
・たった数日しか会えないと分かっていたらもっと話しておけばよかった
・一瞬一瞬を大事にしなきゃいけない

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小鳩組

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