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解説

「赤頭巾ちゃん気をつけて」に続いて森谷司郎監督が岡田裕介、森和代のコンビで描く“新しいフィーリング映画”第二作。脚本は「赤頭巾ちゃん気をつけて」で森谷司郎と共同執筆した井手俊郎。撮影も同作の中井朝一がそれぞれ担当。

ストーリー

明治神宮外苑表参道の落葉にうもれた並木道で、西村純一と尾根勝は出会った。二人はどちらからともなく、舗道にとめてあったスポーツ・カー、オースチン・ヒューレーに乗りこんだ。「どこへ行こうか」「どこでもいいさ」二人はそれだけの会話を交わすと初めて笑い、そのまま旅に出た。運転席の純一はよく道を知っていた。家中でよくゴルフに出かけるからだという。勝は、東京のごく一部の馴染の町だけしか知らない。勝の家は貧しかった。ぐうたらな父と浮気な母。父は決して勝を可愛いがらなかった。父と母は離婚し、父のかわりに若い男が入って来た。やがて勝は町工場に勤めたが、息のつまりそうな毎日だった。勝は給料日だったその日、何もかも馬鹿らしくなり、工場を飛び出した。純一と勝は江の島海岸で遊び、純一は牧場を経営する伯父がいる三島へ行くことを提案した。伯父は西村一族の鼻つまみ者で、若い頃渡米し、終戦まで帰国しなかった。伯父は西部の大平原を真っ赤に染める夕陽を見た瞬間、心を奪われ、そのままカウボーイになってしまったのだという。純一の家はかなり“きちん”とした家だった。母は教育熱心で、他の兄姉はみな社会的に有力な家に嫁いだり、そういう家から嫁をもらったりしていた。だから牛飼いの男が一族の中にいること自体、許せないことだった。車を走らす純一は、自転車にのった少女とすれ違うと、去年の夏の甘ずっぱい記憶がよみがえった。海岸で出逢った男の子のような少女。純一と少女は五米ばかりの間隔を置いて釣竿を落としていた。純一は少女の口ききで釣った魚を街の食堂に売った。その後、この間隔はちぢまり、餌入れは共同使用となった。純一の伯父の牧場はすぐ見つかった。伯父は間もなくここを売って北海道へ行くという。その時は、世話になった心のきれいな人に何かを残してあげたいともいった。純一は車を盗んでここに来たことを告白した。「返すべきだろうな……もっと強くなりなさい」と伯父はいった。警官が玄関先にたったのはその時だった。警察で純一と勝は訊問された。純一の父が法務省の次官だとわかると刑事は、二人を引き離そうとしたが純一は真っ赤な顔で振り返った「西村さんとは何だ!西村と呼び捨てにしたらいいじやないか!僕たちは同じことをしたんだぞ!」。飛びこんできた警官が二人を別れさせたあと、勝は独り埃りっぽい部屋の一隅に坐りながら微笑んだ。...

スタッフ

監督
脚本
井手俊郎
原作
曽野綾子
製作
田中収
撮影
中井朝一
美術
阿久根巖
音楽
小野崎孝輔
多賀英典
録音
長岡憲治
照明
森弘充
編集
広瀬千鶴
助監督
鈴木鉄三
スチール
石月美徳

キャスト

作品データ

製作年 1971年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 84分

提供:株式会社キネマ旬報社

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