劇場公開日 1989年2月4日

「勝新太郎の男臭さと生々しい物語が迫力がある」座頭市(1989) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5勝新太郎の男臭さと生々しい物語が迫力がある

2013年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

総合85点 ( ストーリー:80点|キャスト:90点|演出:80点|ビジュアル:80点|音楽:75点 )

 勝新太郎作品を初めてみたが、まずその男臭さの漂う演技と存在感が凄まじくて迫力があった。明るい電気照明もない時代設定のために、照明を抑えたやや薄暗い日本家屋の撮影の仕方が、美術や衣装とともにその時代にいるかのような本物らしさを出してくれていた。盲目の男が健常な人より強いとか、多数を一人で相手に戦って勝てるというのは非現実的だが、そこはそういう前提の娯楽作品なのだから目をつむろう。
 登場人物が敵も含めてみんな個性的で、よくあるくだらない時代劇のように善と悪をはっきりとわけるのではなく、お役人も任侠たちも自分の利益のために好き勝手に力を使って動いている様子がまた生々しい。正義に燃えるいい人を登場させようなんてことをすることもなく、少しも観客に媚びることのない潔い姿勢が清々しい。

 座頭市はもともとテレビ向け作品のようだが、観たことはない。もしそのテレビ版もこのような生々しさだったらたいしたものだ。
 劇中に登場する日本の音楽はいいのだが、美術や衣装にここまで日本風にこだわっておきながら英語の曲が流れたのは気に入らない。

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Cape God