ウィリアム・テル(1933)

解説

かつてサイレント時代に作られた「ウィリアム・テル(1922)」を同じくハンス・マールがテルを、コンラート・ファイトがゲスラーを勤める映画で、ナツィ文学者のハンス・ヨーストがハインツ・パウルと協力して脚色し、パウルが監督に当たり、「アルプスの血煙」のゼップ・アルガイヤーが撮影した。助演者はエミー・ゾンナマン、オイゲン・クレッパー、マリー・デルシャフト、テオドル・ロース、カール・デ・フォークト当腕利き俳優を網羅している。

1933年製作/ドイツ
原題:Wilhelm Tell

ストーリー

スイス人の祖先は、昔、シュヴィツ州、ウリ州、ウンテルワルデン州、の土地を開拓した。その後、神聖ローマ皇帝から勅書を賜り、三州の民は自由を認められ、平和裡に農耕魚労狩猟にいそしんだのであった。ところが十四世紀のオーストリアのルドルフ王が皇帝となるや、古来の習慣を無視し代官を派して三州を治めさせる。ウリ州では新たに禁令が出た。州民のウィリアム・テルはこの事を知らず、山羊狩りに赴いて新代官ゲスラーに咎められるが、知らなかったというので赦される。シュヴィツ州の名門シュタウフファッヘルはゲスラーに家が立派すぎると難詰される。ウンテルワルデン州の百姓メルヒタール老人は息子の婚約者バルバラをザルネン城に女中奉公させ、城内の様子を探らせる。三州の義民はよりより集まって一揆を起こす相談をし、自由の町ルツェルンを見方に入れようと議決してその使者にテルが選ばれて赴く。ところがルツェルン町の名主は権力にへつらう許りで話にならない。ウンテルワルデン州の百姓バウムガルテンの家に代官ウォルフェンシーセンが雨宿りし、独り居の妻女に巫山戯かかった時、帰って来たバウムガルテンの斧に好色代官は倒される。家来共に追われるバウムガルテン夫妻をルツェルンから帰りの船を漕いでいたテルが助けて逃がす。その後も三州の代官達の暴虐は続いた。遂に三州の民はウリ州リュットリの原に集まって三州の自由の為に誓いを立てる。代官ゲスラーは謀反の徴あり、と察して思いつくままにアルトルフの町の広場に柱高く鉄兜をかかげそれに対して代官同様に敬礼せよと布告する。テルは敬礼しなかった廉で捕らえられる。ゲスラーはテルの愛児の頭上に林檎を乗せて、林檎を射当てれば赦す、という。テルは見事に林檎を射抜いたが、二の矢を用意した訳をゲスラーに訊かれて、林檎を射損じたときはゲスラーを射るつもりだった、と答える。このためテルは湖の対岸のゲスラーの本城に囚われの身となる。ところが湖を渡るとき暴風雨となったので、テルは縛しめを解かれ舵取りを命じられる。テルは巧みに舟を操って岸に寄せて逃れる。そしてゲスラーの帰途を擁して、得意の弓矢で彼の胸板を射抜いて倒す。ウンテルワルデン州では百姓一揆がザルネン城を攻落し、代官を血祭りに上げる。かくてスイス三州の民は昔日の自由を再び得るの緒についたのである。

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