弾痕(1946)

解説

「幻の馬車」「椿姫(1934)」「佛蘭西座」のピエール・フレネーが主演する一九四六年作品で、アレックス・ジョフェとジャン・レヴィットが書きおろし「山師ボオトラン」のマルク・ジルベール・ソーヴァジョンが台詞を書き「背信」「暁に帰る」のアンリ・ドコアンが監督に当った。撮影は「商船テナシチー」のアルマン・ティラールが指揮し音楽はアンリ・デュティユが作曲した。助演は「悪魔が夜来る」のフェルナン・ルドウ、新進女優アンドレ・クレマン、テレーズ・ドルニー、アルベール・レミ等である。

1946年製作/フランス
原題:La Fille du Diable

ストーリー

不敵の強盗サジェは、ある銀行をおそって大金を奪ったが、手まわしの良かった警官隊の機関銃と照射燈に包囲され、負傷しながらも屋根づたいに街道にのがれて、酔っぱらいの運転する車に助けられた。酔いどれはリュドヴィク・メルシェと名のって、アメリカで百万長者になったので、錦をかざりに故郷シャトネへ帰るところだと自慢した。そしてシャトネに程近い十字路で、車は橋に突当って倒れた。メルシェは即死だった。サジェは男の書類を抜取って、死体を川に投げこんだ。サジェはこうしてリュドヴィク・メルシェとなって、シャトネに住むこととなる。彼の傷を治療した医者は、抜きとった弾丸を見て、それが警察専用の銃弾であることを知り、大切に保管する。これはサジェにとっては気味の悪い事に違いなかった。医者は笑顔で教会に鐘を、彼の病院に医療器具を、寄附させるのである。そしてメルシェさんは、気前のいい慈善家だ、シャトネの恩人だと、医者どのは言いふらす。それを我が事のように嬉しがるのはリュドヴィクの伯母で、老婆のオルタンスである。人のいい彼女はサジェを実の甥と思い込んで抱擁するし、人のいい田舎者たちはメルシェさんに挨拶し、尊敬する、ただシャトネの厄介者の不良少年団だけが新来の金持メルシェを憎んだ。とりわけ団長格の不良少女、肺を病むイザベルは慈善家メルシェを侮べつした。ある夜イザベルが自動車のタイヤの空気を抜いて捕まったところを、メルシェは救ってやり、彼女の自分を憎む心境に興味を持った。そしてある日、納屋にイザベルを訪れたメルシェは彼女が豪胆な強盗サジェを崇拝し、ひそかな愛をさえささげていることを知った。イザベルの方では彼の手首の弾こんを見て、メルシェが何者であるかを知った。しかもそのサジェは慈善家の仮面をかぶって、教会に鐘を寄附しているのだ。イザベルはもう一度勇敢なサジェにもどって下さい、と頼むのであった。けれども四十歳の彼はシャトネで平和に暮したかった。イザベルの願に彼は頭を横に振った。失望と憎悪に駆り立てられた彼女は密告した。それはリュドヴィク・メルシュ氏寄贈の競技場落成式の日だった。警官にひかれてゆくメルシェの姿に、サジェのおもかげの微じんもないのを見て、イザベルは絶望して自殺したのだった。

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