狙撃兵(1932)

解説

既にそのモンタージュ理論に関する著書によって我国にもその名を知られ、また形式主義派の一方の雄であるセミョン・ティモシェンコが「生活への注文」「乱叛」「死人結社」等に続いて作ったショオリン式による全発声映画である。原作監督共にティモシェンコの手になり、撮影には、「国旗」「輝ける生活」のドナシェフスキーが、作曲にはエン・マラコフスキーが当った。主演者は「異国の港」「世界の栄光」のシュクリクティングと「新バビロン」「幸福なケント」のソボレフスキーとの二人である。なお、本邦に輸入されたフィルムは紐育アムキノ配給になるもので英字字幕がスーパーインポーズされている。

1932年製作/ソ連
原題:Sniper

ストーリー

戦争が始まる。すると、女達の歓呼と勇ましい軍楽隊とに送られて兵士達は戦線に出て行く。だが、彼等の戦死の一つ一つがいずれも何者かの算盤玉と密接な関係を持っているのである。ここ、西部戦線では本日異常なしとこの頃ずっと報告が出ている。が、そうした時でもドイツ軍の狙撃兵の為に連合軍の兵は続々と斃されているのである。連合軍はやっきとなってドイツ軍の作戦本部を集中砲撃によって破壊する事に成功した。だがその復讐としてドイツ軍の狙撃兵の活動は益々旺んである。かくてはならじとここに連合軍も狙撃兵の養成につとめた。狙撃兵とは七百メートルの距離にあっても一発の下に敵を仕止め、且つ一日に五百人の敵を射殺し、そして又変装保身術をも心得ている兵士である。で、こうして訓練養成された狙撃兵の中に一人のロシアの兵卒がいた。そして彼は帝政派の士官に率いられて連合軍の戦線に加わった。彼は士官の命を受けて、風雨の暗夜、長時間もの間泥濘の中で待ち伏せした後に、首尾よく目ざす敵たるドイツ軍の狙撃兵を短剣で仕止めた。が、このドイツ軍の狙撃兵が労働者である事を知った時には、彼は不思議な気になった。また、ドイツ軍の捕虜となり耕作に従事しているロシア人達の集りへ連合軍が大砲を打込んだのも目撃した。そうしている内に、連合軍に参加していたロシアの兵卒達が皆な戦争をやめて帰国しつつあるという報が伝わって来た。ロシア士官は直ちに銃をとって兵卒等を阻止しようとする。が、この時に休戦のラッパが鳴り戦争は終わったのである。そして彼の狙撃兵も「ヴォルガの船唄」を合唱して引上げて行くカマラードの跡を追うのであった。

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