旅する人々

解説

「鎧なき騎士」に次ぐジャック・フェーデ監督作品で、「女だけの都」のフランソワーズ・ロゼーと「モスコーの夜は更けて」のハンス・アルバースが主演する。脚本はフェーデが「みどりの園」の原作者ジャック・ヴィオと協力書卸したもの。助演者は「最後の一兵まで」のハンネス・シュテルツァー、「スパイ戦線を衝く」のイレーネ・フォン・マイエンドルフ、「ファウスト」のカミルラ・ホルン、「支配者」のハーバート・ヒュブナー、新人ウラ・ガウグリッツその他で、音楽は「世界のメロディー」のウォルフガング・ツェラー、撮影はフリッツ・コッホが担当。

1938年製作/ドイツ・ドイツ合作
原題:Fahrendes Volk

ストーリー

夜の街道をバーレイ・サーカス団の長い自動車の列が進んでいた。彼等にとっては車両の中が住居である。その中に猛獣使の女フロラと息子のマルセルも居た。マルセルは団長バーレイの長女イヴォンヌと秘かに愛し合い、その夜も彼女の車を訪れた。その留守にフロラの車へ、警官に追われた脱獄囚が逃げ込んだ。それは十六年前に妻子をすてて去ったフロラの夫フェルナンだった。警官隊は彼を探してサーカスの車両を捜索したが、フロラの機転で急場を逃れて、フェルナンはこの一行に加った。然し彼は息子のマルセルには真相を打明けないと約束した。器用な彼は間もなく団長のお気に入りとなった。イヴォンヌとマルセルの関係は、早熟な姉妹シュザンヌの口から団長に判ってしまったので、彼は娘をイタリーの舞踊学校へ入学させた。息子の恋を許していたフロラは此の処置に不満だったが、若いマルセルは自暴自棄となって団長と争い、サーカスを飛出して酒場で酒をあおり、悪い船乗に誘惑されようとしている時、それを救ったのは名乗れぬ父のフェルナンだった。然し訳を知らぬマルセルは却って反感を覚え、以前サーカスにいたペピタの後を追って彼女と一緒にパリのサーカスへ出る事になった。舞踊学校へ入ったイヴォンヌは既にマルセルの子供を宿していた。彼女はそこを逃出して職を求めたが、身ごもった女に働ける場所はなかった。彼女は父親にかくれてフロラの許を訪ね、その車にかくまって貰った。その頃フェルナンの昔の仲間は、彼を利用してサーカスを襲う計画をたて、彼は遂にそれを拒み切れなかった。見物席にいる金持のアメリカ女を襲うためフェルナンが電気を消したので、折柄猛獣を使っていたフロラは虎に腕を噛まれて負傷した。この背後にフェルナンが居る事を知ったフロラは、彼に此処を出て行って貰う。彼もやくざに生れた己を後悔し、フロラには黙ってマルセルをペピタとの恥ずべき関係から救おうと決心した。然しペピタはマルセルを帰そうとはしなかった。そして計らずもフェルナンの素性を知った彼女は警察に密告した。マルセルとペピタが観客の喝采を博している時、官憲に追われて屋上へ逃げたフェルナンは、射殺されて路上へ墜落した。マルセルは自分をペピタから救ってくれたのが父親である事は遂に知らなかった。彼がイヴォンヌと母の許へ帰った時、彼の子供が生れた。フロラは勿論、団長の心も初孫の誕生に明く融け、バーレイ一座は又次の町へ幸福な車両の旅を続けた。

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