歌によせて

解説

「春のいざなひ」の英語版で同じくジャン・キープラが主演する映画でかつてアメリカで「虚栄地獄」「浮気禁制」等をものしたモーリス・エルヴィが監督に当たったもの。脚本はリチャード・ベンソンがオースティン・エドマンドの台詞を得て書いた。助演は「十三日の金曜日」のソニー・ヘイル及びエムリン・ウィリアムズ、新顔のアイリーン・マーソン、「ドン・ファン」のジナ・マロ等で、撮影は「十三日の金曜日」のチャールズ・ヴァン・エンガーの担当、歌は「キング・ソロモン」のミッシャ・スポリアンスキーが作曲した。

1934年製作/イギリス
原題:My Song for You

ストーリー

歌劇団一座の者がオペラ座で「アイダ」の稽古をしている時であった。劇場の支配人に就職を頼みに来たテオドルの友達メリイは、主役の若いテナーのガティの美声に聞きとれて、知らぬ間に座員に混じって恍惚と聴き入っていた。するとガティは歌を唄いながらメリイの似顔を書いて、それを彼女に渡した。それには絵の外に「今夜十時にアルハムブラ・ホテルで是非お会いしたし」と書いてあった。メリイはテオドルの就職が不調に終わったので、ガティを通じて交渉しようと考え、十時の会見を電話で約束した。ガティにはその夜の十時にラジオ放送の前約がある。支配人チャーリーは二人の会見を阻止する為に色々と説いたが彼が聞き入れようとしないので、とうとうガティを室に閉じ込めてしまった。憤慨したガティは愛用のギターを奏でつつ窓から街路に向かって得意の歌を唄った。道行く人々は美しいメロディーにひきつけられ、街路は忽ち群集を以て満たされたので遂に警官の出動となり、ガティは警官の手で戸外へ引き出された。思う壷にはまった彼は直ぐメリイに会いに行った。彼女はテオドルを兄として紹介したが、途中で嘘がばれたのでガティとメリイの間に妙な隙ができた。ふさぎ込んでいるガティを見ると支配人チャーリーは気が気でなく新聞に広告を出した。「アルハムブラ・ホテルでガティと会った女性よ、場所を指摘すれば御身の為に慈善興行を催し、ガティは無報酬にて出演すべし、至急返事を乞う」やがてメリイの返事が来た。そしてガティは精魂を傾けて歌ったが、憧れの乙女メリイは遂に姿を現さなかった。物憂い数日が続いて後、「メリイ・ニュウバーグ嬢、クリーバーグ男爵と近く結婚」という新聞記事を見たガティは、もしやと思って当日式場へ行った。果たしてそこには花嫁姿の彼女がいた。我を忘れてガティはその場で「アヴェ・マリア」を唄った。丁度その時、彼女は牧師から宣誓を求められていたが、答えもなくてその場に泣き伏してしまうのだった。それから何日かが過ぎた時、ガティとメリイの楽しい新生活が始まったのは云うまでもない。

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