桃源境

解説

「私は昼あなたは夜」「女王様御命令」と同じくケーテ・フォン・ナギとヴィリー・フリッチが主演する音楽映画で、プッチーニの歌劇『テュランドット』及び戯曲『テュランドット』に取材したファンタジーである。脚色には「ハンネレの昇天」を脚色監督したテア・フォン・ハルボウが当たり、監督は「黒騎士」「真紅の恋(1933)」のゲルハルト・ランプレヒトが任じた。助演者は「カイロの結婚」のレオポルディーネ・コンスタンチン、舞台出身のウィリー・シェーファース、「チャルダス姫」のインゲ・リストとパウル・ケンプ、「女王様御命令」のパウル・ハイデマン等である。音楽はプッチーニのものを用いず、新進のフランツ・デーレが作曲し、指揮に任じた。キャメラは「真紅の恋(1933)」「今宵こそは」のフリッツ・アルノ・ワグナーの担当。

1934年製作/ドイツ
原題:Prinzessin Turandot

ストーリー

中国四百州をしろしめす王様には甚だ厳格な后と天女の再来の様なテュランドット姫とがあった。姫は今や花の蕾の年頃でその美しさは万里の長城を越えて遠くペルシャ、蒙古、サマルカンドへも聞こえ、伝え聞いた国々の王子達は吾こそ姫の心を得んものと続々北京へ乗り込んで来た。しかし結婚を嫌った姫は三つの謎を出して首尾よく解いたものを婿にし解けぬものは首を打って城外にさらす事にした。所がこの謎が非常な難題で今まで一人も解ける者がなく、今日もサマルカンドの王子は百四十五番目の犠牲者として刑場へひかれて行った。鳥篭を車に積んで通りかかったペルシャから来た小鳥売りのカラフはこの訳を聞いて姫を非難したので捕らえられて姫の面前に引き出された。姫はカラフの不礼を怒りながらも勇ましい彼の様子に心を引かれ、カラフも亦姫の美しさに心を奪われた。獄に曳かれて見ると殺された筈の百四十五人の王子達は長閑な釣をしながら国からの身代金が来るのを呑気に待っていた。翌日カラフは姫の前に引き出され三つの謎をかけられたが、侍女のミアン・リーやヴイリバルトの助けを得て美事に解いてしまった。姫はすっかり不機嫌になった。そこでカラフは姫を見切って国へ帰ろうとするが折角よい花婿をみつけた王様がしきりに引き止めるのでカラフはこちらから謎を出し、もし姫が解けなかったら婿になろうと約束した。その夜姫はミアン・リーに成り澄ましカラフの幌馬車に忍び込んで謎の正体を聞き出そうとした。姫と悟ったカラフは態と知らぬ振りをして接吻した。翌日カラフは一昨夜私に接吻したのは誰か」という謎を出した。姫はカラフが自分と知ってした事を喜んだが勝負に勝つために「私です」と答えた。愛する姫が自分と結婚する意志がないのを知ったカラフは失望して宮殿を辞した。それをじっと見送っていた姫ははじめて自分の本当の愛を知り、彼はよび戻した。かくて立派な花婿がきまったので宮殿は喜びにみちた。

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