仮面の王者

解説

「鉄拳旋風児」「修羅の猛将」等と同じくハリー・ピール氏の主演そして監督した活劇である。原作を書いたのはマックス・バウアー氏とエトムント・ホイベルガー氏との二人、ピール氏の相手役は「アパッシュ」「心の不思議」のルート・ワイヤー嬢と、カール・デ・フォクトの活劇などでわが国にも知られているクレール・ロマー嬢との二人であるが、その他「蛇身の舞」のフレッド・インムレル氏やH・セフラー氏、等も出演している。キャメラは前のピール物と同じくゲオルク・ムッシュナーとゴッタード・ウルフとの二氏が担当している。(無声)

ドイツ
原題:King by Proxy

ストーリー

ハーリースタンの城主ナスル・アリが欧州へ初めての旅行をしたとき、彼は有名な映画俳優ハリー・ピールと偶然なことから知合いになった。この頃、ナスル・アリの国では陰謀を企む者があって国中暗稽たる雲に覆われていたのであったから、ナスル・アリは暫しなりとも己が地位に変わる人があって己をその重苦しい渦巻から解放させることを望んでいたのであった。斯うした訳でハリー・ピールは城主の願いにより二人はその位置を暫しが程交換することになった。城主が一個のハリー・ピールとしてパリへ旅立った後、その許婚のパッチューリ姫とその父君とが城主の泊まっているホテルを訪れた。ピールには既に女優のメディナ・モンテインという許婚がある身とて、このパッチューリ姫の出現には弱されたが、姫があまりその許婚の冷淡さに悩むので、余儀なくその恋のお相手をして姫を慰めることにした。城主に身代りをしてピールがハーリースタンの国へと帰って行くとこの時に国では陰謀の首領ハーキムは早くも城主の替玉であることを嗅ぎつけ、一層に陰謀の火の手を煽ったのであった。が、ピールはこのハーキムの勢力によって満たされた町へ立ち帰ると全力を上げてその鎮静に努め、暫くの間はまたこの町もその努力によって平静を続けるかに見えていた。が、そうしたうちに、予てより定められていたパッチューリ姫と城主との結婚の日が次第に迫って来た。その日までにあと五日しかない。ピールは思い余って城主に早く国の由を知らせるために苦心の末、城外にぬけ出ることに成功した。この時は既に城主は内乱の通報を受けてピールの恋人メディナを伴い急いで帰国の途にあった。そしてあらゆる交通機関を利して1日も早くと焦っていたのである。斯くて城主は間一髪に於いて結婚式にと間にあった。陰謀は未然に防がれた。ピールは己が努力によって平和に納まったハーリースタンの城を後にして再びメディナと手をとって映画の国へと帰るのである。

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