掘削機一〇一〇号

解説

カール・ルドヴィヒ及びアハッツ・ディースプルグ・ジュニア両氏が自ら脚本を書き、監督に当った映画でキャメラはアントゥール・フォン・アハヴェルフューラー、ハーバート・ケルナー、ユーゴー・フォン・クヴァンツェンスキの三氏が担任。主なる出演者は「二重結婚」のハインリヒ・ゲオルゲ氏、「世界のメロディー」のコヴァル・サンボルスキ氏、フィオラ・ガルデン嬢、イルゼ・ストロベラヴァ嬢、「クリームヒルトの復讐」のゲルトルード・アルノルト夫人等である。(無声)

1929年製作/ドイツ
原題:Blasting Excavator No.1010

ストーリー

冷たいコンクリートで真四角に畳んだ部屋。その部屋の中で鋼鉄製のデスクの前にのめる様にかがんで一心に製図を引いているのは技師カール・ハルトマンであった。毎日機械と睨めっこをしている圧迫されるような生活。これに耐え切れなくなったカールは突然、製図機を投げ棄てると部屋を出て行った。彼は田舎へ帰ったのである。助手のオルガはその後で彼の仕残した仕事を覗きこんで見る。立派な新式堀鑿機の図面である。助手は図面を支配人の手許へ持ってゆく。カールの家は片田舎の風車小屋である。たった一人家を護っていた母は息子の帰りを喜ぶ。そしてまた故郷には懐かしい山河が彼を待っていた。カールは都会を逃れた気軽さに幸福な日をすごす。だが都会生活から得た科学思想は知らず知らずのうちにカールの脳裡に滲みこんでいた。彼は恋人カミラと散歩中、偶然この地方の山に石炭層の含まれていることを発見する。鉱山、発掘、掘鑿機、久しく機械に飢えていた彼の胸は踊った。早速カールはベルリンの工場へ打電した。該地所の買上が始まった。土地の農夫たちは渋々承諾した。そしてカールの発明した掘鑿機1010号は巨大な姿を動かした。だがカールの母は永年住み馴れた土地を機械に蹂躙されたくはなかった。風車小屋に火を放った彼女は小屋諸共灰になった。機械は自然に容赦をしない。やがて最後の危険作業にとりかかる。カールと助手オルガが一つ一つスイッチを入れる度に採鉱地域に聳つ小山は爆破される。カミラはカールと助手オルガの親しい様子に自分の恋の望みを失う。悲しみに閉された彼女には危険信号が眼に入らない。何も知らぬカールが合図した。助手がスイッチを入れた。カミラの姿はそれきり見えなくなってしまった。だが1010号はそうした小さな人間の悲しみなぞに関係なく巨人の如き威力を振るっていた。

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