母(1928)

解説

かつて在独時代に「ヴェニスの獅子」等を作り渡米した後は「他言は御無用」「女丈夫」等を作ったポール・L・スタイン氏が監督した映画で、ヨハネス・エルギン氏の脚本によったのものである。主役を演ずるのは「オーヴァ・ゼ・ヒル」以来母親役として定評あるメアリー・カー夫人であるが、それを助けて「どん底」のワルター・リラ氏、「ワルツの夢」のヤコブ・ティートケ氏、アニタ・ドリス嬢、ヴァレリー・ブートビー嬢、等が出演している。(無声)

ドイツ
原題:Honor Thy Mother

ストーリー

これはある母の物語である。母は息子のフリッツに学問をさせるため、そして家計を支えるために、毎朝霧深い中に八百屋車に乗って市場へ出かけるのであった。が医科大学生のフリッツはそんな母の苦労などは更に顧みず、毎日の弁当がいつもサンドウィッチであることなどに不平を鳴らしていた。そうした時に母の涙を知りそれを慰めるのは、心優しい姪のエルナであった。エルナはフリッツを人知れず慕っていた。が、当のフリッツはそんな事には気がつかず、教授マインガードの令嬢エリゼと親しくした。そして教授から博士になったならば娘をやろうと言われたのに発奮して勉強した結果、首尾よく学位をかち得、母の嘆き、エルナの悲しみをよそにして、エリゼと結婚して我が家を去って行った。田舎育ちのこの母が若々しいエリゼの気に入る筈はなく、またフリッツとしても新婚の幸福に夢中になっていた際で、フリッツと母との間は次第に遠ざかって行った。やがて母の誕生日がめぐって来た。が、フリッツからは祝いの詞が一つとして母の許には届れられなかった。身も心も捧げ尽くした我が子に全く忘れ去られた悲しみが母の心を重くした。やがて身体をそこなった。母は重い病の床に付いた。招かれて来た慈善家の医者ハイムは事の由を知っていたく彼女に同情した。一方、フリッツとエリゼとの生活は、エリゼの放縦な身持ちから円満には行かなかった。その内にこの町で社会政策に関する問題を論議するため医学者の大会が開かれた。フリッツはこの席上その抱負を述べたが、ハイムからそれは机上の空論として嘲笑され、先ず君の傍ら最も近くにいる婦人より救え、と教えられた。彼は始めて我に返った。フリッツはエリゼとのいまわしい生活に終結を告げた。そして母のいる我が家へと急ぎ足で帰って行った。そしてその足下にひざまづいて不幸の罪を謝した。傍らにエルナの喜びの涙があった。

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