恋は盲目

解説

ドイツの監督者でアメリカに渡った後は「燃ゆる唇」等によって知られているロウター・メンディス氏が在独時代に作った喜劇である。原作者はヴィクトル・レオン氏。脚色したのはロベルト・リープマン氏である。出演者は「タルチュフ」「王城秘史」等出演のリル・ダゴファー嬢、「プラーグの大学生(1926)」「蝋人形の箱」等出演のコンラート・ファイト氏、イタリア映画「クオヴァディス」に出演したイギリスのリリアン・ホール・デイヴィス嬢、それとゲオルク・アレクサンダー氏とである。そのほかエミール・ヤニングス氏も一寸顔を出している。無声。

1925年製作/ドイツ
原題:Love Makes Us Blind Liebe macht Blind

ストーリー

ヴィクトルは若気の至りとはいえ、美しい妻君のディアナをよそにして頻りと柳暗の巷に出入りしていた。あまりの夫の乱行にディアナも遂に堪りかねて、高圧手段に出づる事に決心した。で、彼女は友達のお医者さんラマールを訪ね、安眠が出来ないから催眠剤をくれる様に頼んだ。が、夫婦の間柄を知っており又密かにディアナに恋心を抱いているラマールは、催眠剤と称して実は何でもない薬を渡した。その夜、ディアナの邸でアマチュア倶楽部プロダクションの撮影の稽古が行われ、姫君に扮したディアナをインドのラジャに扮したラマールが催眠術にかける場面となり、腕に覚えのラマールは本気になってやって見たが更に利かない。ディアナはラマールからもらった催眠薬を夫に呑ませたが、これも効き目がある筈がない。ヴィクトルはいつもの様に遊びに行ってしまう。ヴィクトルにはエヴリンという情婦がある。彼はそれに会いに出かけて行くのであった。その翌日、アマチュアプロの連中はウーファの撮影所で実際に撮影を始める事になった。その時、ラマールは、例の催眠術をかける場面で、本式にディアナに、今夜十二時に町の角で私を待っていてくれ、という暗示を与えた。で、お医者さんのラマールは自分の腕を信じているから、約束通り夜の十二時に町角でディアナを待っていた。が、一方ディアナの方は、そんな事にはおかまいなく撮影所で思い付いた変装のまま、主人のヴィクトルを瞞してやろうという気から酒場に出かけヴィクトルを引っかけてしまう。ディアナにヴィクトルを取られたエヴリンは大いに憤慨し、ディアナの跡を付いて行き、翌日改めて訪ねて行く。間に挟まったヴィクトルは弱って、ディアナにお前と生き写しの女に会ったから遊びに行くのだと苦しい言訳をし、今晩その女をここに連れて来てお前に会わせてやると約束する。その夜ディアナは又例の変装でムーラン・ルージュに出かけヴィクトルに会い、素知らぬ顔で自分の家へ連れられて来る。一方、ディアナが姿を変えて家を出て行くのを見たラマールは、これは、てっきり暗示が未だ醒めないのだと思って、それを醒まさせるべく家へ出かけて行く。斯うした紛糾のあった後に、ヴィクトルは散々妻君のディアナから油を絞られる。が、ヴィクトルは妻が、他の女以上に魅惑に富んでいる事を始めて発見した。そこで、また家庭には平和がめぐって来る事になる。

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