蠱惑の街

解説

この映画の監督者カール・グルーネ氏は「シャロレー伯爵」「エックスプロージョン」等によってその手腕を我が国にも認められた人。オイゲン・クレッパー氏とルチー・ヘーフリッヒ嬢とはかって揃って名映画「鼠」に出演した事がある。アウド・エゲデ・ニッセン嬢は古くは「デセプション」「ドクトル・マブゼ」近くは「寵姫ズムルン」に活躍した女優である。全六巻中に僅かに九つの字幕しかない準無字幕映画で、近頃珍しいものの一つである。無声。

1923年製作/ドイツ
原題:The Street Die Strass

ストーリー

真書から夜へかけて--黄昏の巷--汗から享楽への一転換。「街」は自ら働き、動く。漸く家庭生活に倦怠を覚えた四十代の男が一夕ふと「街」の蟲惑に心唆られて、家を飛び出しその夜一夜に経験する種々の冒険とそれに伴う悲しみと喜びとの物語である。忠実な妻の晩餐を振り捨て夢遊病者の如く黄昏の燈火の「街」へと出て行く一人の「夫」綺羅びやかな飾り窓--ポケットの小切手--女--歓楽。ふと側に若い女が立っている--売笑婦--婬らな悲惨な会話。 同じ街の貧しい屋根裏の家庭--老いた盲人と息子の無頼漢と孫。その無頼漢こそ、さきの売春婦を手先にして所謂「仕事」をしているのである。盲人と小児の惨めさに引きかえ、一軒のカフェーでは田舎の紳士をよい椋鳥めと女は手練手管を尽している。あの「夫」はゆくりなくも、そこへ入って来る。カルタの賭博で「夫」は儲ける。 肉に飢え歓楽を追う二人の男は女の室で飽く迄遊び続けるが、遂に田舎大尽は悪漢の為に刺され「夫」は嫌疑者として拘留される。魔の様な夢から醒めた「夫」は縊死し様とする時、神の如き小児の唇から出た言葉で悪漢の罪状が露れ彼は鉄窓から出て来る。混乱した頭を窓に押しあてながら下の「街」を茫然と見下ろす「夫」と、一夜を寝ずに明かし今同じく窓から見下ろす妻の心は初めて一つの静安な喜びを見付けた。

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