風(ソ連)

解説

原作者ラフレニェフはソビエト新文壇の新人、既に多くのシナリオが映画化されたが、就中、この「風」と及び、名監督プロタザーノフによって映画化された評判の大作品「第四十一番」とが有名。監督ショッフェルも又ゴスキノの新進、近くは「ウトリシ」という芸術映画を監督している。この映画の眼目は、内乱及至戦争を前にしての個々人の心理的矛盾を新しい意企の下に新しく描出するにあり、内容は、日本映画でお馴染みの例の明治維新ものを彷彿させるもので、剣戟あり、乱闘あり、濡れ場あり、正に好箇の西洋維新ローマンスである。無声。

ソ連
原題:The Wind

ストーリー

一九一七年、欧洲戦は今やたけなわである。地上で、空中で、海上で、人々はお互いを滅ぼし合っている。バルチック海に浮かぶ軍艦、水兵グリヤヴィン。その年二月の初め、彼はペテルブルグに派遣され、絶えて久しい愛人アンヌウシカとの再会の歓喜にひたる。が、ペテルブルグに飢餓は迫り、食料品店の前には痩せて寒さに慄える人々の列が続く。ある夜、グリヤヴィンは銃声で醒める。内乱、市街戦……七月……十月。負傷から癒えたグリヤヴィンは、既に一隊の長として賊軍追討に差向けられる。途上、彼は女首領レリカの率いる暴徒の一団に出逢い、それを捕虜とする。が、レリカの美しさに迷ったグリヤヴィンは、彼女をおのが恋人とし、親友であり、参謀であるストローエフの諌言を退けてレリカの一味と合体する。その噂は中央政府にも達し、終に彼らを匪徒と認める旨の通牒がグリヤヴィンの手に届く。しかし事実はグリヤヴィンの一隊は忠良な軍人なのであるが、ただレリカの一味が彼の名を騙って掠奪をほしいままにしているのだ。地主の家等を襲ってはならぬ、という厳命にも拘らず、レリカとその一味とは尚も自分勝手に振舞う。終にストローエフは彼らの掠奪の現場を発して、レリカを責めるが、狂暴な彼女のために射殺されてしまう。グリヤヴィンは親友の死によって迷夢から醒め、意を決してレリカとその一味とを残らず射殺してしまう。今は亡き愛人レリカの屍の前でグリヤヴィンの決心に輝く眼からは、流石に熱い涙ははふり落ちる。

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