快傑ダントン

解説

フランス革命当時の英傑ダントンを人間的に扱った時代劇。ドイツヴェルネル会社の「オセロ(1922)」の前の名作品で、「オセロ(1922)」の監督たり又「カラマーゾフ兄弟」等のアート・ディレクターとして名高いディミトリ・ブコウスキー氏が原作と監督の掌に当たって居る。フランス革命当時の快傑ジョルジュ・ダントンを人間的に扱ったもので主役には「オセロ(1922)」「ファラオの恋」「デセプション」等のエミール・ヤニングス氏が扮し、その他例に依り、「オセロ(1922)」「カリガリ博士」等のヴェルネル・クラウス氏やヒルデ・ヴェルネル嬢等立派な顔触れである。無声。

1921年製作/ドイツ
原題:All for a Woman Danton

ストーリー

1789年勃然として起こったフランス革命の結果、横暴を極めた時の王朝は覆され世は人民のものとなった。しかし革命後その理想とする立派な共和政体はなかなか実現されなかった。此の革命の背後にある人傑中の大立物、ダントンは打ち続く流血の混乱期……恐怖時代を憂い、一時も早く共和政体を確立し人民安堵の日を招致すべく望んだ。彼と意見を異にするロベスピエール一味は旧王朝に対しいささかの好意を持つ者に至る迄飽く迄も全滅せしむべく恐怖時代を人民の為に憂うる色もなかった。革命、流血、会議、政治、人並以上に熱烈な人間らしい性格を持って居るダントンは此等の無味乾燥な事を以て埋められた生活が馬鹿々々しくなった。しかも偉大な愛を根拠とする彼の策は用いらるべくも見えない事を憤り、彼は遂に国民会議の席を蹴って一市民としての、人間としての生活を楽しむべく、政治圏を去った。其処には酒もあり愛すべき女性もあった。彼の朋友同志は彼の為に之を惜しんだが、彼の人間としての情熱は抜くあたわざるものがあった。ロベスピエール一味は彼を市民の仇敵とそしり人民を扇動し彼を襲わしめたが、偉大なる彼の人格の前に人民は寧ろ敬服するのみであった。人民の頭に自由の念、恐怖時代を呪う念が深く喰い入って行くのを見たロベスピエール一味は、ダントン及びその周囲の者にその責を帰し、あらぬ理由の許に彼等を捕縛した。自由の血躍る革命児ダントンは、フランス共和政体確立の最大の犠牲として、雄々しくも斯くて一市民として人間として暴虐の手を甘受したのであった。

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