憂愁

劇場公開日:

解説

フランスの文豪アレクサンドル・デュマ・フィスの名作“椿姫”の映画化。本邦公開のアルゼンチン映画として初めての本格的劇映画である。監督エルネスト・アランシビアとW・エイセンが共同で脚色を担当し、時代と背景を現代のアルゼンチンにおきかえ、主人公アルマンドをピアニストにするなど種々工夫を凝らしている。撮影はアントニオ・メラヨ、音楽はティト・リベロ。ピアニスト、アントニオ・デ・ラコの演奏でショパンの“革命”を始め三曲が収められている。主な出演者はアルゼンチンの人気女優スル・モレノ、「王家の谷」のカルロス・トンプソン以下、サンティアゴ・コメス・コウ、モナ・マリスなど。アルゼンチン・ソノ・フィルム製作による一九五五年作品で、同年の二月ハリウッドでヘンリエッタ賞を得ている。

1955年製作/アルゼンチン
原題:The Woman of the Camelias
配給:外国映画=松竹外画部
劇場公開日:1956年1月17日

ストーリー

アルゼンチンの片田舎。音楽家を志す青年アルマンド(カルロス・トンプソン)は、ある嵐の夜、父の牧場を見廻っていた時、落馬して失神していた女マルガリタ・ゴーティエ(スル・モレノ)を助けた。マリガリタは男から男へとわたり歩く社交界の女で、そのときはちょうど、附近にある別荘の主人カルロス(サンティアゴ・コメス・コウ)のかこわれものだった。アルマンドは彼女の美しさに打たれ、その落していった椿の花をいつ迄も抱きしめていた。大学に入るため都会に出たアルマンドは父親に内密で音楽の勉強をはじめ、そのかたわらキャバレーでピアノをひいた。ある夜キャバレーに現れたマルガリタの姿に、アルマンドは情熱をたぎらし彼女も恋に悩む青年の姿を深く印象にとめた。ほどなくしてアルマンドが、マルガリタのかっての恋人の名指揮者クリスチャン・サルバス(ニコラス・フレゲス)にピアノを聴いてもらうため、サルバスの家を訪れると、そこにはマルガリタもいて彼にそっと逢引の時間を記した紙片を手渡した。しかしマルガリタは神経系統の持病から余命も残り少ないことを知り、アルマンドを避けて海岸の保養地に旅立った。アルマンドは方々探し廻った末にカジノの賭博場で彼女を見出し、サルバスに借りた田舎の別荘で夢のような数カ月を過ごした。だがやがて秘かに別荘をおとずれた彼の父親の頼みで、マルガリタは幸福な生活をあきらめ、アルマンドの初演奏会の夜、姿を消した。失望したアルマンドもサルバスの激励で遂に一流のピアニストになり、外国へ演奏旅行に出かけたがパリでマルガリタを見付け、我を忘れてなぐりつけた。しかし彼女の下宿を訪れたアルマンドは彼女が自分を捨てた事情を知ってブエノス・アイレスへ伴い帰った。マルガリタの病は重く死は目前に迫っていた。だがアルマンドは彼女の最後の生活を幸福に過させるため二人の結婚を約束した。ブエノス・アイレスでの演奏後、拍手にこたえるアルマンドは、マルガリタが病いの床から脱け出て河に身を投げたことは知るはずもなかった。

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