ゼロ地帯

劇場公開日:

解説

女流作家エディス・ブリュックの原作を「青い大きな海」のジロ・ポンテコルヴォが監督したナチ強制収容所のドラマ。脚色はフランコ・ソリナスとジロ・ポンテコルヴォの共同。ユーゴ・ロケのキャメラをアレクサンドル・スクロヴィチが担当。音楽はカルロ・ルスティケリ。出演するのは「女優志願」のスーザン・ストラスバーグ、「二十四時間の情事」のエマニュエル・リヴァなど。製作モリス・エルガス。

1960年製作/イタリア
原題:Kapo'
配給:イタリフィルム
劇場公開日:1961年5月20日

ストーリー

第二次大戦も苛烈になり、ナチのユダヤ人迫害はいよいよはげしさを加えていった。エディット(スーザン・ストラスバーグ)も、両親と一緒に強制収容所へ送られた。ここでユダヤ人はガス室に送られる。彼女は両親と無理矢理引き離されて一室に収容された。両親を求めて部屋を抜け出した彼女は一般女囚のソフィア(ディギ・ペレゴ)や政治犯の医師に同情されて、ユダヤ人という身分をかくし、一般女囚ニコルとしてポーランドの労働収容所に送られた。収容所での生活はひどいものだった。ここで彼女はインテリ女囚のテレーザ(エマニュエル・リヴァ)などに生きることのとうとさを教えられ、なにがなんでも生き抜こうと決心する。収容所には「カポー」と呼ばれる女囚がいる。「カポー」とは女囚の中で成績優秀と認められた者がなる監視員のことである。当然「カポー」は、仲間のにくまれ者だ。ニコルすなわちエディットは、ドイツの士官に清純な体を与えてまで、その「カポー」になった。なにがなんでも生き抜くために。やがてこの収容所の隣りに、ソ連軍の男の捕虜たちが送られて来た。その中のサーシャ(ローラン・テルズィエフ)と、エディットはいつしか、心をかよわせるようになった。戦局は次第にドイツに不利になっていった。ソ連軍の砲声が聞こえるようになると、ナチは収容所をたたむことにきめ、囚人を皆殺しにすることにする。一方、囚人たちはひそかに脱走計画をねっていた。それには「カポー」であるエディットが重要な役をしなければならぬ。だがその役目は命を賭けたものだった。愛するサーシャのためなにも知らずにそれを引受けた彼女に、サーシャの心は乱れたのだった。ついに彼は真相を彼女に語った。彼女が必ず死ぬであろうということを。エディットの顔色は一瞬変ったが、愛するサーシャのためにそれを決行した。鳴りひびくサイレンとドイツ軍の銃声。エディットはたちまち倒されたが、捕虜たちはいっせいに立ち上った。阿鼻叫喚の地獄絵の中に、サーシャはエディットのなきがらを抱いてぼうぜんとたたずむのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第33回 アカデミー賞(1961年)

ノミネート

外国語映画賞  
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映画レビュー

3.5カポになったある少女の物語

2022年4月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

過酷な収容所で、純真だった少女が生きる為に自分を売り、ナチスの手先としてカポになる。

彼女はあの最期を迎えてなくても、どこかで裏切りか粛清があるのだろうと思える。

それでもピュアになれるのは恋という見方もできるし、悲惨な人生であったが恋があっただけマシだ、との見方もできるし、それら全てを淡々と描き戦争は悪だとも見れる。

一体何がカタルシスなのか?

最後の言葉の意味は幾通りにも解釈できる。

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ho

4.5とても面白かった

2022年2月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

極限状況でありつつも、収容所だからがんじがらめに不自由、ということでもないのが逆にリアルを感じた。以前見た「サウルの息子」も強烈だったが、頑健でない自分はこの環境で真っ先に衰弱死すると確信を持ちながら見た。16歳が置かれる状況としてあまりにもむごすぎる。終局手前、見上げる空のカットが目に焼き付くように残る。

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どんぐり
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