鮮血の午後

劇場公開日:

解説

スペインの国技“闘牛”を、首都マドリッドの闘牛場「プラサ・デ・ラス・ベンタス」を舞台に描いたセミ・ドキュメンタリ映画。「愛と王冠の壁の中に」の原作者で劇作家のマニュエル・タマーヨとフリオ・コールが実話に基いて書いたシナリオを、「汚れなき悪戯」のラディスラオ・バホダが監督した。撮影監督も同じく「汚れなき悪戯」のエンリケ・ゲルネル、音楽はホセ・ムニオス・モリエダが担当した。主演はスペイン闘牛士三〇年の名声をもつドミンゴ・オルテガ、中堅のアントニオ・ビエンベニーダ、若手のエンリケ・ヴェラの三闘牛士。それにマルーハ・アスケリーノ、マリサ・プラドー、エルカニータ・フェンテスの女優陣。

1956年製作/75分/スペイン
原題:Tarde de Toros
配給:東和
劇場公開日:1957年6月9日

ストーリー

闘牛の国スペインの首都マドリッドの街角に張られた一枚のポスター。リカルド・プエンテ、ホアン・カルモナ、ロンデニョ二世の三人の闘牛士の名が大きく人々の眼に焼付く。その一人、リカルド(ドミンゴ・オルテガ)は、かつては花形闘牛士として一世を風靡したが、今は寄る年波に、昔日の人気と地位を若いホアン(アントニオ・ビエンベニーダ)に譲ってしまっていた。リカルドの妻パロマは夫の凋落にいつも焦躁を感じていたが、試合の当日、闘牛場へ行くのはホアンを見るためだと云い張り夫に不満をぶちまけた。ホアンにはイサベルという妻と、妹アナがいた。二人は田舎から試合を見るためにマドリッドへ出てきたが、イサベルは夫に米国巡業の話があると知り、それを止めるよう説得する積りだった。夫に危険な闘牛士を止めさせ田舎で平和に暮すのが、初めて子供を姙った彼女の希望なのである。一方、アナも恋人のロンデニョ二世(エンリケ・ヴェラ)との結婚許可を兄から貰うのを今度の旅の目的にしていた。二人はホアンに会った。しかしホアンはロンデニョ二世の将来を危ぶんで妹の結婚話に反対したばかりか、絶大の人気を得ている自信から妻の願いまでしりそげた。その頃、ロンデニョ二世は自宅で闘牛士の正装に身づくりしていた。この日は彼の披露試合、かつての名闘牛士である父は秘かに息子の試合を見るため大衆席に席を取った。試合開始の時刻が迫り、闘牛場の内外は人の波。その見物人に混って二人の若者が改札係の目をかすめて場内へ忍び込んだ。熱狂的な闘牛士志望のマノロと、その友人トレパである。興奮にどよめく闘牛場--パロマ、イサベル、アナの三人もいる。試合はロンデニョ二世から始った。初めての桧舞台は彼にはやはり重荷だった。剣さばきの拙さに観客の不満を買って退場した。次のリカルドが進み出たとき、突然、大衆席から一人の青年が飛出し牛と闘い始めた。マノロである。うまくさばくと思った瞬間、角に突かれて救護所に運ばれたまま息を引取った。この飛入り事件でリカルドも調子が狂い、思わぬ失敗をして引退った。次はホアン。彼は鮮かに牛をさばき、観客の期待に応えた。第二回目の試合が始った。最初はリカルド。今度は背水の陣で臨み華やかな自らの過去を再現して返り咲きに成功した。が、冷え切ったパロマの心を再び取戻すことはできなかった。つづいてホアンの出場。割れるばかりの歓声。ところが事もあろうに当代随一の彼が牛に突かれてしまった。救護所に運ばれたホアンに代ってロンデニョ二世が最後に登場した。一回目の失敗で自信を失った彼も、観客席に恋人と父親を見つけ勇気を振い起した。見事に牛を仕止めた彼は闘牛士としての将来と恋人までをも獲得した。それを祝福するかのように拍手の嵐が続く。一方、負傷したホアンは、これを機会に、生れ出る我が子を思って闘牛士を止めようと決意した。闘牛ばかりが人生ではない--こう覚った彼にイサベルが優しく応えた。

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