エゴール・ブルイチョフ

劇場公開日:

解説

一九一六年のロシア革命を舞台に、ガンを宣告された主人公の周囲に群がる人間の心理葛藤を描く。マクシム・ゴーリキーの戯曲の映画化。監督・脚色はセルゲイ・ソロビヨフ。撮影はL・カラーシニコフ、音楽はI・シワルツが各々担当。出演はミハイル・ウリヤーノフ、マイヤ・ブルガーコフ、ジナイーダ・スラーヴィナ、エカテリーナ・ワシーリエワ、R・マルコワ、ヴァチェスラフ・チーホノフなど。

1971年製作/ソ連
原題:ЕГОР БУЛЫЧОВ И ДРУГИЕ
配給:ATG
劇場公開日:1972年9月16日

ストーリー

エゴール・ブルイチョフ(M・ウリヤーノフ)は町の実業家で有力者だが、非凡な気質と強い意志と尽きぬユーモアの世界を持った人間である。ブルイチョフは駅頭で〈信仰と皇帝と祖国のために〉戦い傷ついた数多い兵士を目撃した。家に帰るとブルイチョフは、牧師のパブリンに見るも恐ろしいほどに痛めつけられた民衆のことを告げた。パブリソは何事も神の意志によるものと主張するが、ブルイチョフはロシヤの皇帝によって起こされた戦争の不合理性と致命的な結果に気づいていた。ブルイチョフは町でも屈指の実力者であり、やろうと思えば自分の財産を数倍にすることもできた。だから、戦争という好機にもブルイチョフがあまり仕事に興味を示さないのをみて彼の大家族は不安にかられた。だからといって、あからさまに彼を非難する者はいなかった。家族の中には悪意にみちた想像が渦巻いていた。金持ちの家長が勝手な振舞いをし、大衆も金のためにそれがあたりまえと思っている当時の世相に、ブルイチョフは疑問を持っていた。だが、彼をとりまく連中はブルイチョフの悩みを病気のためだと考えた。事実、彼は医師からガンを宣言されていたが、自分の人生は徒らにすぎないことを自覚しており、どれほどの財産もはなばなしい出世も彼には少しの満足感ももたらさなかった。身内のなかで、旧い体制の崩壊を予知し、ブルイチョフの心を理解したのは私生児のシューラ(E・ワシーリエワ)だけだった。シューラはブルイチョフが内に秘めている自由を愛する心と反抗の精神を受け継いでいたのである。そしてシューラにあっては全人生が未来にかけられていたが、ブルイチョフはもはや何事もやり直すことができなかった。ブルイチョフの病気を聞きつけて、彼の妻クセーニャ(M・ブルガーコフ)の妹で女子修道院長のメラニャが見舞にくる。かつて関係のあった人メラニャは彼の魂を救おうというが、実は彼女の関心は、彼女がブルイチョフの事業に投資した資金の運命であった。彼が間もなく死ぬであろうという予感はお金のことだけで皆に不安を投げたのではない。妻はすでに事業のあと継ぎのことを心配し始め、娘のワルクーラ(G・スラーヴィナ)とその夫ズヴォンツォーフは財産の分け前のことばかりつぶやき始めた。ブルイチョフ家の客間はこんな厚顔無恥な連中がたむろしていた。彼らの心を見抜いたブルイチョフは怒って暴れたりするので気狂い扱いされ、皆は後見人を立てようとした。やがて、町からも戦場からも知らせが届き、ブルイチョフの予感が実証されていく。民衆は戦いを拒み、皇帝は退位させられた……。ブルイチョフはあらゆる悪だくみや、おどしと戦ったが、悪化した病いには勝てず、遂に倒れてゆく。

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