桜 さくら(1979)

劇場公開日:

解説

第2次大戦終結直後の中国で、生みの親である日本人の母親と生き分かれた女の赤ちゃんが、中国人の女性に育てられ、やがて日本に帰り、再び育ての親とめぐり会うまでを描く。

1979年製作/90分/中国
原題:桜
配給:東宝東和
劇場公開日:1980年7月26日

ストーリー

陳建華(許還山)が森下光子(程曉英)と出会ったのは、75年のことだった。中国での大規模な化繊プラントの建築計画のため、日本から派遣技師団が加わり、哲野(付羽中)という幼ない息子を伴って彼女が訪中した時だった。光子母子をホテルに案内した建華は、そこで光子から、彼女が中国で生まれ育ったことを知った。30年前の45年、日本女性、高崎洋子(江韻輝)は中国で敗戦を迎え、一歳にもみたない光子を背負い長城付近の村をさまよっていたが、病気と疲労に苦しみ、思いあまって路傍の石仏に光子を残してその場を去った。しかし、やはり思い直して石仏の所に戻った洋子は、すでに光子の姿がないのに愕然とする。近くの民家に住む主婦が気の毒に思って光子を連れ去ったのである。こうして光子は中国人のその女性、陳嫂(欧陽儒秋)に引き取られることになり、嫂は洋子に親子の再会の際に役立つようにと銀のブレスレットを渡したのだった。涙ながらに話し終えた光子に、建華は驚きの表情をみせた。そのブレスレットこそ、建華の母のものだったのだ。光子は、20年前に別れた建華の妹、秀蘭……。建華がまだ鉄桂といっていた少年の頃、秀蘭とは仲の良い兄と妹だった。ある日、ブレスレットを頼りにわが子を探し求める洋子の、ブレスレットをそえた手紙を読んだ嫂は、秀蘭を手放す決心をした。いずれ別れの日のくることを覚悟していた嫂も、いざその日を迎えると悲しみをこらえることができなかった。再び銀のブレスレットをもち馬車を遠ざかる秀蘭を、鉄桂はいつまでも見送った。そのころ社会情勢は大きな動きを見せはじめており、日本人が家にいたというだけで、有能な技術者陳建華は、地方の農村で働かなければならなかった。化繊プラント建設のため、ようやく北京に戻って来たのだが、光子のため建華と離れて生活しなければならなかった妻の何玉良(都本真)は、光子に対する憎しみをもっていた。建華は、母嫂に光子を会わせたい衝動にかられるが、名のるのをためらった。こうして、建華の沈黙で何も知らずに仕事にはげむ光子を、建華はたえず見守った。ある雨の日、建華の娘小梅(高薇)が哲野に会いたがっているのを知った光子は、哲野をつれて建華の家を訪ねた。そこで光子は、遇然ある写真を見た。その写真には幼ない日の光子と建華と母の嫂の3人が写っていたのだ。喜びにひたる光子だったが、建華夫妻の苦悩に満ちた会話を耳にしてしまい、心に秘める他はなかった。プラント建設はついに中止となり、日本人技師団も帰国することになった。かねてより建華から事情を聞いていた揚主任(石羽)は、帰国の日のせまった光子を嫂の住む石仏村に連れていった。20年前と変わらぬ懐しい家で、母を見た光子は感激するが、テーブルの上にブレスレットを残し、その場を去った。そして一年が過ぎ、状況の変化でブラント建築工事が再開されることになり、再び光子が中国の土を踏んだ。以前と同じように光子がタラップを降り立った時、母嫂がかけよってきた。2人は再会に涙するのだった。

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