楽園に帰る(1928)

解説

古くからヴァイタグラフ社の花形として名あり最近には「相縁奇縁」に出演したコリーヌ・グリフィス嬢のユナイテッド・アーティスツ入社第1回作品である。原作はドイツ戯曲で、ルドルフ・ベルナウアー氏とルドルフ・オエステルライヘル氏との合作したもの、それを長らくエルネスト・ルビッチュ物を手がけていたハンス・クレーリー氏が脚色し、「特製鋼鉄人形」「美人国二人行脚」と同じくルイス・マイルストーン氏が監督した。相手役は「かぼちゃ野郎」「高らかに歌え」主演のチャールズ・レイ氏で、その他「舷々相摩す」のローウェル・シャーマン氏、「人生サーカス」のルイズ・ドレッサー嬢、モード・ジョージ嬢、エドワード・マーティンデル氏などが出演する。

1928年製作/アメリカ
原題:The Garden of Eden

ストーリー

トニー・ルブランはバレエ・ドゥ・パリのキャバレエ・ダンサーである。が、彼女は身持の正しい娘であったから、このキャバレエの御顧客ヘンリー・フォン・グレシングの忌はしい申出をはねつけた。このことから彼女はキャバレエの持ち主マダム・バウアーの気嫌を損じ、解雇せられた。身の振り方に困っているトニーを救ったのは、同じこの家に雇はれて衣裳掛をしているローザであった。ローザは元来は男爵夫人なのであるが、その養老金を貯蓄するために斯うして賎をしているのである。そして年に一度その貯えた金によって数週間というものを、彼女が会て送ったと同じな華かな暮しをするのであった。で、ローザはトニーを己れの娘に仕立ててモンテ・カルロ近くのホテル・エデンにと赴く可く、このブダペストを去って行った。その列車中、2人はリヒアルト・スパニイという金持で恥ずかしがり屋の紳士と出逢った。斯くてトニーとリヒアルトとはエデンの園で恋を囁いた。トニーは一度はリヒアルトの家族の思わくを考えて彼よりの結婚の申出を断ったものの、ローザが正式に彼女を養女にするというので、遂にそれに応ずることとなった。結婚の宴にヘンリーが来合わせた。彼はトニーに秘密を守ってやるからと云い寄ったがトニーはそれをキッパリと断った。その上、自ら本身をリヒアルト一家の前で明かしてしまった。家風の軛の下に縛らりているリヒアルトはトニーのために、弁ずるには力が余りに弱かった。が一家の者はただその家名のためにという理由から結婚を許した。結婚の当日、トニーは總てのこの尊敬す可き旧家から興えられたものを脱き棄てて己れの持物である下着と靴下と靴とだけで式に列した。それからトニーは古巣に帰った。彼女はこの結婚式のことを仕組んだウォードヴィル出演の勧誘を受けたが、それを断った。次で結婚式に於れる彼女の行ためを壯なりとして総理大臣が彼女に結婚を申込んで来た。その時ルヒアルトが本心に眼覚めて彼女を真に求めにやってきた。同時に彼の伯父が彼女からリヒアルトを買い戻しに出て来た。そうしてゴタゴタがあった後に、トニーとリヒアルトとは再び結ばれた。2人は相携えてエデンの園へ。

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