魔炎

解説

「夢想の楽園」「悲恋舞曲」に次ぐロナルド・コールマン氏、ヴィルマ・バンキー嬢主演映画で、ルドルフ・ロタール氏作の舞台劇「道化王」をベス・メレデイス女史が映画的に書き改め、ジューン・メイシス女史が台本を執筆し、「夢想の楽園」「ステラ・ダラス(1925)」等と同じくヘンリー・ギング氏が監督したもの。助演俳優はグスタフ・フォン・セイフエルティッツツ氏、アウグスチノ・ボルガト氏、ハーヴエイ・クラーク氏、シャーリー・パルマー嬢等である。

1927年製作/アメリカ
原題:the Magic Flame

ストーリー

吹く風も温かいイタリアのとある海沿いの町にかかった旅回りのサーカスは、一座の花形の美しいピアンカの空中曲芸と、道化のテイトオの愛嬌が人気だった。テイトオとピアンカとは深く愛し合って末は夫婦と堅い約束をしていた。ある日ピアンカが客寄せ宣伝のためん軽気球から落下銭で降りたところへカルロ・カサチという伯爵が通り合わせた。彼はピアンカの美貌に魅せられ自動車で送り届けようといったが、彼女は伯爵がテイトオに瓜二つなのに驚いただけで体よく彼の申し出を断った。カサチ伯爵とは仮名でイリリアの領主の嗣子たる彼は窮屈な領主の館を逃れて女漁りに浮き身をやつしていた際とて早速サーカスを訪れて、盛んにピアンカを誘惑せんと試みたが肘鉄砲ばかり食うので、翌日は最後の手段として偽手紙で彼女をホテルにをびき寄せた。これおを知ったテイトオは得意の軽業で窓から樹へ飛移って逃げた後だったが、テイトオと伯爵とは凄まじい決闘を始めた。最後にテイトオは伯爵を窓下の断崖に投じてホテルを出ようとした。ところがそこにはイリリア領主の死によって嗣ぐ子たる伯爵を迎えに来た従者が待っていた。そして瓜二つのテイトオは新領主としてイリリアへ赴かねばならぬ羽目に陥った。入れ違いにホテルに駆けつけたピアンカは恋人テイトオがイリリア領主に害されたものと誤解し恋人の讐を報いんとサーカスを去って城下い忍び入った。そして心ならずも領主としての生活を送りピアンカを想うて悶々たるテイトオが領内巡視の折、ピアンカは彼を狙撃せんとした。しかしそれは未然に発見され彼女は獄に繋がれた。死刑囚の宣告書に署名を求められた新領主たるテイトオが、添えられた写真を見るとそれこそまぎれもない恋人ピアンカだった。かくて恋人への復讐と、領主を亡き者にせんとする執政の内命とを含んだピアンカは領主の前に現れた。テイトオが死んだと思い込んでいる彼女の言葉に驚いたテイトオは、かの日以来の奇しき出来事を語った。そして相擁して城を脱出した2人は再びサーカスの花形と道化役としての生活に戻った。

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