半分の機会

解説

ジェッス・ハムプトン氏がロバート・ソーンビー氏を監督として1年2本の特作品を撮させることになった。その第1回の作品がこれである。フレデリック・S・アイシャム氏の有名な小説をフレッド・マイトン氏が脚色せるもので、全篇壮快な活劇である。主役マーロン・ハミルトン氏は「情熱の審」その他で快男子振りを発揮せる人、相手のリリアン・リッチ嬢は「暁の前1時間」にも出演していたが、英国生れの喜歌劇の花形で、1917年ポーツマスで興行中、飛行家ニコルスン大尉と恋仲となり結婚したというロマンスを持った人。大尉が除隊になってから米国へ来て映画界の人となったのである。

1920年製作/アメリカ
原題:Half a Chance

ストーリー

1度は拳闘家として相当世の中にも知られた男「セイラー」バークは、ある娘を殺したという身に覚えなき罪を被せられ、レイ判事から20年の宣告を受け、サン・ケンティンの監獄に護送される途中、渡し舟から水中に飛び込んで逃れ、ある汽船の水夫に住み込んだ。その船に乗じ、オーストレイリアに向かう船客の中には、病める妻と娘ジョセリンを連れているレイ判事もいた。判事の友人ジャッル・ロンスデールは水夫の1人を入墨から脱走犯人のバークと認め彼を捕縛させた。バークは船の中に手錠を掛けられ監禁されていた。船は難破し、バークは判事の娘ジョセリンを助けたが、ロンスデールは娘だけボートに救け上げ、バークを水中に突きはなした。バークは一孤島に漂着し、難破船の中から発見した法律書によって数年間を法律の研究に専心した。十年の後、彼はジョン・スティールという名で、サンフランシスコに於ける有名な刑事弁護士となっていた。ジョセリンと再び廻り会った彼は彼女を恋する。彼女の許婚ロンスデールは再び入墨によってスティールをバークと認め、探偵を雇って証拠を集めさせる。ジョセリンの助けを得てスティールは探偵の手を逃れ、トム・ロージャースという十年前の殺人事件の証人を腕力づくで自白せしめた。彼の自白によればロンスデールに棄てられた娘は自殺したというのである。却ってロンスデールの方がその事件に責任があることが判り、スティールはかつて命を救ったことのあるジョセリンと理解ある恋仲となる。

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