ハヴァナから来た女

解説

「紐育萬華響」と同じくローラ・レーン嬢とポール・ペイジ氏とが主演しベンジャミン・ストロフ氏が監督した映画で、「最敬礼」「青空」の脚色者ジョン・ストーン氏が「紐育萬華響」のエドウィン・バーク氏と共同して書卸したもの。キャメラも「紐育萬華響」のジョセフ・ヴァレンタイン氏が担当している。助演者は「疑惑晴れて」のナタリー・ムーアヘッド嬢、「彼と女優」「手紙」のケネス・トムソン氏、「紐育萬華響」のウォーレン・ハイマー氏、ジョセフ・W・ジラード氏等である。

1929年製作/アメリカ
原題:The Girl from Havana

ストーリー

初夏の輝かしい日射しがペイヴメントに照るロサンゼルスの或日の午後である。流石に宝石店には顧客の姿も見えない。若い番頭のアラン・グラントは退屈そうに見るともなく往来に眼をやっている。ところへ一分の隙もない流行の衣服を着た淑女と紳士とが訪れてダイアモンドの首飾を見せて呉という。アランは早速に望まれた品を取出す。折柄狂犬らしい犬が唸り聲も物凄く店さきに跳込んだのである。アランは驚いて犬を取押えようとする。漸くのことで彼は犬を外へ追出した。お客の紳士も淑女も此の騒ぎでそそくさと立去って了った。あとで見るとダイアモンドの首飾が四つも紛失していた。アラン・グラントは忽ち馘になる。グラントはかの狂犬の行方をたづね、犬の首輪から宝石を取はづし、直ぐさまハヴァナ行きの汽船に乗って高飛びした。宝石店の番頭だったアラン・グラントはボーイに早変りして何食わぬ顔をしているのである。上甲板の特別室を借切っている豪勢な百万長者の許にボーイのアランは赴く。百万長者の夫婦こそかの宝石店を訪れたウィリアム・デーンとローナ・マーティンで百万長者の運転手を装っているスパイク・ホワードとアランとの四人は盗んだ宝石を分けた。船がバルボアに碇泊した時ジョーン・アンダースという宝石商自衛組合に雇われた女探偵がロサンジェルスで100万ドルの宝石を盗んだ悪漢団が此の船にいると目星をつけて乗込んだ。ジョーンはハヴァナへ旅興行に出掛けるミュージカル・コメディー一座のコーラス・ガールと見せかけたのである。船がパナマ運河を通過してハヴァナへ向う頃には盗賊一味もジョーンが探偵であることを知った。ジョーンは泥棒と知りながらアラン・グラントに心を惹かれ、男も彼女に首ったけ惚れたのである。が流石に女ながらも大任を背わされた探偵だけにジョーンは宝石をとりかえし、デーンとローナ・マーティンとは捕縛された。ところがスパイクは機敏にもジョーンを誘拐して何時の間にかハヴァナに上陸して了ったので、アランは驚いてスパイクを追跡した。ハヴァナの街中を追っ駆けっこした揚句アランは漸くスパイクを取押え、スパイクがアランの父親を殺害した強盗殺人犯であることが判明した。アランはサンフランシスコの宝石商の息子で、父の仇敵を探すために此の宝石盗賊団に加盟していたのであった。ジョーンは愛人が矢張り立派な正しい青年であったことを悦ばしく、誇らしくさえ思って微笑したのである。

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