熱血拳闘手

解説

「乗合馬車」以来プログラム・ピクチュアに主演するのみで余り振わなかったリチャード・バーセルメス氏が久々で主演した特作映画で、原作はルパート・ヒューズ氏が執筆し、アデラ・ロジャース・セントジョン女史が修訂。ウイニフレッド・ダン女史が脚色したものを「想い叶いって」「地下鉄サディー」等と同じくアルフレッド・サンテル氏が監督した。バーセルメス氏の相手役はモリー・オデイ嬢が抜擢されて勤め、アーサー・ストーン氏、ロウフォード・デイヴィッドソン氏、マシュー・ベッツ氏等が助演している。

1927年製作/アメリカ
原題:The Patent Leather Kid

ストーリー

一九一七年欧洲大戦の酣わなる時、アメリカでは参戦不参戦の議論に暄しかった。その頃ニューヨークイースト・サイドに、お酒落なところから本名よりも「専売革キッド」の綽名で通っている軽量ボクシングのチャンピォンがいた。お酒落のせいかキッドは人気が無かったが試合には敗けることはなかった。シャーキーを倒した夜彼はボントン・カフェの踊子カーリーと愛し合う仲となった。アメリカは遂に参戦し、国を挙げて戦争熱に浮かされた。しかしキッドには商売のボクシングが戦争よりも大事だった。ボクシング場で常に罵詈を沿びている彼には同胞愛とか愛国心とかを感ずる余裕がなかった。彼はアメリカ々旗に対してすら脱帽しようともしなかった。愛国心の強いカーリーは愛人のこの態度に裏切られたような寂しさを覚え、遂に愛人が出征することを念じ、自ら先んじて出征兵慰問のためフランスの戦地へダンサーとして赴いた。またキッドの無二の親友パフィーも、黒人のモラッセスもアメリカのために起った。キッドはこの数日来、アメリカ々歌に耳を傾けては不思議な興奮を覚えずにはいられなくなっていた際であり、義勇募兵の勧告書を手にするや彼も遂に応募した。そしてパフィーと共にフランスに送られ、YMCAのホールでダンスをしているカーリーにめぐり逢ったが、キッドは嫉妬心から彼女を誤解して了った。その夜総攻撃の命は下った。キッドは戦争が恐しかった。彼は味方のタンクの蔭に隠れるようにして進んだ。しかし親友パフィーが敵弾に仆れた時彼の血は湧き立った。奮起したキッドは偉動をたてたが重傷を負って昏倒した。野戦病院ではカーリーも看護婦として働いていた。そして瀕死の重傷兵となって運込まれたキッドの身体に彼女は泣伏した。狂人のような彼女の嘆願に医師は無役と知りつつ施術した。しかしカーリーの愛はキッドに生命を与え、不自由なキッドの手足も自由になった。

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