人間苦

解説

セシル・B・デミルが「醒めよ人妻」と「禁断の果実」の間に製作した社会劇で、相変わらずジェニー・マクファーソンの原作によったもの。主役は例によってエリオット・デクスター、グロリア・スワンソン、セオドア・ロバーツ、モント・ブルーなどによって演じられている。

1920年製作/アメリカ
原題:Something to Think About

ストーリー

浮世に生きる諸人の運命は、人生という溶鉱炉の中で鍛えられねばならぬものである。生まれながらに不具の哲学者デイヴィッド・マークリイは村外れの山上に年老いた家政婦と日本人の下僕とともに富裕な生活を送っていた。山の麓には鍛冶屋のリューク・アンダースンとその娘ルスとが暮らしている。ルスが年頃になった時デイヴィッドは彼女を教育するため都会の学校へ出した。美しい、教養に富んだ女になって、ルスが村へ帰って来た時、デイヴィッドの心は燃えた。しかし彼は我が身が不具であることを知っている故に、それをいい出すことを敢てしなかった。これを知ったアンダースンははルスを勧めてデイヴィッドに婚約の申し込みをさせた。しかし愈々結婚の当夜ルスは自分の心がほかの男に捕らえられていることに目覚めて、心の恋人ジム・ダークとともに村を逃れてしまった。デイヴィッドの華かなりし恋の夢は無惨にも破れてしまう。ルスの忘恩を怒ったアンダースンはある日限りない怒りを胸に鉄槌を振る時火花に目を射られて永遠の盲人となってしまう。一方ルスとジムはニューヨークに逃れ来てジムは隧道工夫となった。運命は彼ら2人に辛く、ジムは隧道破壊の際万人の犠牲となって世を去った。ルスはあるいは洗濯工場の女工となり、あるいは雑役婦となって生まれんとする児のため浮世に永らえようとしたが、それもかなわず暗い絶望を抱いて霧烟る雨の夜投身してジムの後を追わんとした。しかし運命の神は未だ彼女を死なしめず、悲しみの思いに浸りつつ故郷へ帰って来たが、失明の父に会い我が罪の恐ろしさに再び命を絶たんとしてデイヴィッドに救われる。彼はルスをその苦境から救い出すべく名ばかりの良夫となってその家庭を開放した。やがてルスの子は生まれた。デイヴィッドは限りない愛をその子に感じた。浮世の冷たさに絶望した彼は、ただ純真な小児の心に偉大なる法悦を見い出したのである。ルスの感謝は変じて強きデイヴィッドに対する愛と変じた。しかしデイヴィッドは「我が恋は己に死せり」とばかりに、彼女の愛を拒んだ。絶望に沈んだ彼女がデイヴィッドの家を去らんとした時老いた家政婦はこれを止めた。そしてやがて彼が目覚める時の来るのを悟した。目に見えぬ力に導かれた彼はルスの部屋へ夢のように入って来た。その時2人の間には貴い理解が生まれた。ルスはデイヴィッドの腕に泣き崩れた。

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