泥人形

解説

「ヴァージニアン(1929)」「アビーの白薔薇」のヴィクター・フレミング氏が監督したものでクリーヴス・キンキード氏原作の舞台劇を「サンダーボルト(1929)」「アビーの白薔薇」のジュールス・ファースマン氏が脚色した。主演者は「棘の園」のコンスタンス・ベネット嬢と「西部戦線異状なし」のルー・エイヤース氏で、「サンダーボルト(1929)」のタリー・マーシャル氏、「グッドバイ・キッス」のマティー・ケンプ氏、「七日間の休暇」のベリル・マーサー嬢、「アリバイ」のパーネル・プラット氏、舞台劇界で有名なヘール・ハミルトン氏等が助演している。キャメラは「デキシー歌舞曲」「黒旋風」のグレン・マクウィリアムス氏担任。

1930年製作/アメリカ
原題:Common Clay

ストーリー

エレン・ニールは音楽と舞踊とを求め青春の歓楽を追う娘であった。貧しいエレンがこの憧れを現実に満し得る場所は禁酒国アメリカでは秘密の酒場よりほかにはなかった。美しい彼女は或るスピークイージーの花形としてジャズとカクテルに酔っていたが、或晩の手入れにエレンも拘引されて罰金を課せられ、闇の女として指紋を取られてしまった。然し取調べの判事は温情をもって年若いエレンの将来を深く誡めた。悔改めた彼女は名門フラートン家の女中となった真面目に世を渡ることとなった。エレンは下男頭の無體の恋を斥けたが休暇で帰省した令息ヒューには凡てを許したのである。ヒューは友人バッド・コークレーからエレンがスピークイージーの女であったことを聞いていたので勿論一時の戯れ心から彼女の貞操を弄んだので、休暇が終って学校へ帰る時には彼と別れるのを辛がって彼女が泣くのに弱り果てた位で、重荷をおろした心地で家を去った。でエレンの許には約束したはずのヒューからの便りはまるで無かった。やむなく、身重になっていた彼女は家へ帰って母となった。ヒューと別れて1年後エレンは弁護士エイツと母のニール夫人とともに赤ん坊を抱いて、フラートン家の顧問弁護士フィルスンの許を訪れた。フィルスンはエレンが案外立派な心掛けの女だったので同情しながらもフラートンが許しただけの手切金を出そうと言うと、子供を私生児にしたくない望みで、金を目当ではない彼女は勿論それを断った。フラートンはそれをもっと金を取るために結婚しようと主張するのだととって憤り、エレンの前身を明るみに出すぞと脅迫した。併し彼女の弁護士エイツは、エレンは今尚未成年者であるから彼女は前科者ではないから明るみに出すなら出せと強く出た。かくて事件は裁判所に持出されたがフラートンとフィルスンとの尽力で裁判は不公開で行われた。双方の弁論の末ニール夫人はエレンは自分の実子でなく、友人の私生児でその生みの母は父たる男の名誉と将来のために自殺したと證言した。この為にエレンの正確な生年月日は立証し難くなり、事件を左右すべき決定的な事が曖昧となった。かくて裁判は中止となった翌日エレンはフィルスンの事務所に招せられた。エレンはここでフィルスンが実の父親であることを聞かされて驚いた。併しフィルスンを始めフラートン父子の悔悟は彼女の決心を動かし得なかった。エレンは偽善者の助力なしで自活するのだと宣言して立去ろうとした。しかしヒューが許しを乞い愛を誓った時エレンはそれを拒む勇気はなかった。

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