怒涛の彼方へ

解説

「エヴァンジェリン(1919)」「村の鍛冶屋」等の原作者ロングフェローの筆になる詩に基づき「裸一貫(1922)」と同じくアルバート・レイが脚色し、フレデリック・サリヴァンが監督の任に当たった。「我が恋せし乙女」に次ぐチャールズ・レイの主演作品で、チャールズはこれを最後としてインスのもとに帰った。対手役は「ロビン・フッド(1922)」出演のエニッド・ベネットで、その他E・アリン・ウォーレン、ジョセフ・J・ダウリング等も出演する。約300年前メイフラワー号に乗って新大陸アメリカに移住して来たイギリスの冒険者達の物語で、英文学の研究者は何人もが愛読する有名なものである。映画化に当たっては原作にない、航海中の出来事がだいぶ取り入れてある。堂々たる大作品で入場人員も今までのレイ映画に見られぬほど多数で、レイが独立幾何ならずして再びインスの麾下に帰った理由も略推察がつくというものである。

1923年製作/アメリカ
原題:The Courtship of Myles Standish

ストーリー

1620年の頃、イギリスの理想主義の人々は一隊を組織してその頃から120~30年以前にコロンブスが発見したアメリカに移住せんと帆船メイフラワー号に乗り水天渺茫の間に激浪と戦い風雨にさらされ、辛うじて2ヵ月余りの後新天地に上陸した。一同の喜びは例うるに物もなかったが、もとより未開の土地の事とて病魔に侵されて多数の死者を生じ、かつインディアンの襲撃を受けて、言語に絶えた苦痛を嘗めたが、月日の経つにつれてインディアンとの仲も万満に収まった。一行の中にあったスタンディッシュ将軍は美しき乙女プリシラを妻にしようとして、友人ジョン・アルデンをして意中を伝える使者たらしめた。アルデンは自らプリシラを恋していたが、将軍の命に仕方なく彼女を訪れて将軍の武功を語り、彼の妻となるように勧めたが、プリシラとてアルデンを恋する身の、これに従うはずはなく、かえってアルデンの気の弱いのを恨んだ。アルデンの復命を聞いた将軍は怒った。ちょうどそのおりインディアンの襲撃があって、将軍はアルデンを除外して応戦した。その後将軍戦死の報が伝わったので、プリシラとアルデンとは結婚の式を挙げたが、死んだと伝えられた将軍が帰って来て、快く2人の幸福を祈ってくれた。プリシラとアルデンとは幸ある家庭の人となる。

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