天使(1937)

劇場公開日:

解説

古くは「ラヴ・パレイド」「陽気な中尉さん」「私の殺した男」「生活の設計」等をもって我国にも名声高き巨匠エルンスト・ルビッチの監督作品で、主演のディートリッヒは「モロッコ」「間諜X27」「真珠の首飾」等で有名である。「ブロンド・ヴィナス」「再び逢う日」「忘れられた顔(1936)」等で落着いた芸風を買われているハーバート・マーシャル及「豪華一代娘」「社長は奥様がお好き」「Gウーマン」等のメルヴイン・ダグラスとエドワード・エヴァレット・ホートン、ハーバート・マンディン、アーネスト・コサート等が助演している。

1937年製作/アメリカ
原題:Angel
配給:セントラル映画社
劇場公開日:1946年7月4日

ストーリー

ロンドンからパリの旅客機に英国の敏腕な外交官フレデリック・バーカー卿の夫人マリアが乗込んでいるが、それは良人がジュネーブの国際会議に出席中、留守居の無卿を紛わさんものと良人に内緒で、パリーに住む大公爵夫人を訪問するためであった。大公爵夫人は彼女の昔からの知合で、今は紳士たちに御夫人を紹介することを職業としている。アントニー・ハルトンなる英国人が紹介状を持って、ツール街に住む大公爵夫人の許を訪れるがちょうど居合せたマリアを見て痛く心を動かされる。マリアも徒然なるままにある料理店で落合う約束をする。約束の料理店で食事を共にした2人は、いつしか愛情で堅く結び合される。男はしきりに女の名前を知りたがるが女はついに名乗らないまま、男が公園ですみれの花を買っている間に忽然と姿を消す。男は「天使、天使」と呼び続ける。国際会議を終えたバーカー卿は、ジュネーブからロンドンに帰ってくる。ある日、競馬場で卿は友人ハルトンに会い彼からパリーにおける彼の「天使」の思い出を聞かされる。翌日、ハルトンはバーカー卿の自宅に招待される。同家のマリア夫人こそパリー以来彼が求めてやまない「天使」その人ではないか。彼らの愛情は妖しく燃え上がるが、良人の賢い穏かな愛情を感じているマリアは、自分は天使なる女とは全然他人であるといい張る。バーカー卿の心中にもなぜかしら穏やかならざる蔭が宿る。彼は急用で再びジュネーブに赴くことになり、航空会社へ座席を申込んだことから図らずも妻マリアが単身パリーに出掛けたことを知り、愛妻への疑いが彼の心を暗く閉ざす。ハルトンはマリアに、水曜日午後5時に、再びパリーの大公爵夫人の許に来るように言い置いて暇を告げる。マリアは良人にパリーまで同行しそのところで良人の返りを待ちたいと願いその同意を得る。約束の時間、ハルトンは大公爵夫人の許でマリアを待ち焦がれている。とバーカー卿が重い足取りでそこに現われる。そして折しも訪れたマリアに会う妻への疑いは今紛れもない事実となって現われた。激昂したバーカー卿は去就をマリアの一存に任せてそこを出て行く。その後姿をじっと見つめていた彼女は、ハルトンをその場に残して良人のあとを追う。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0デートリッヒの驚嘆すべき美しさ

2018年10月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

デートリッヒ本作主演時36歳
あくまでも細く、姿勢の良い優雅な身のこなしと落ち着きぶり
真っ直ぐに見つめる瞳、意思のはっきりした上品な眉と化粧、気品と知性の溢れる広いひたい
何もかも大人の女性の美そのもの
正にタイトル通り天使そのものだ
上流階級のマダムの役柄になりきっている

彼女でなければ、ここまでの迫真の説得力を産まず、この映画は成立しなかっただろう
それほどの美しさ
有能かつ実績を積み重ね、将来も嘱望される、自己もその自信と自負に溢れている、それほどの男が我を忘れてしまう大人の女とはどんな女なのか?
それは、今写っている美しい顔を見せている、この彼女だ!
そう心から信じられる、その説得力だ
最初から最後まで彼女に目が釘付けになってしまうのだ

そしてまた、タクシーの運転手、花売りの婆さん、執事達の台所のやり取りなど、合間合間に挟まれるウィットシーンも楽しい

ラストシーンは特に秀逸
言葉も顔を見せるのでもなく、歩き去る後ろ姿の演技だけで結論を示す終わり方は、本当に小粋だ

大人の恋、大人の女性の映画そのものだ

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あき240

トリュフォーを驚嘆させたキッチンの場面の卓抜なギャグ。

2018年9月16日
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トリュフォーを驚嘆させたキッチンの場面の卓抜なギャグ。

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トグサ
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