狙撃者

劇場公開日:

解説

兄を殺された男の地下組織への徹底的な復讐戦。製作はマイケル・クリンガー、監督はイギリステレビ映画監督から転出のマイク・ホッジス、テッド・ルイスの原作をホッジズが脚色、撮影は「ユリシーズ」のウォルフガング・スシツキー、音楽は「ツェッペリン」のロイ・バッド、編集はジョン・トランパーが各々担当。出演は「最後の谷」のマイケル・ケイン、イアン・ヘンドリー、ブリット・エクランド、ジョン・オズボーン、トニー・ベックリー、ジョージ・スウェル、ジェラルディン・モファットなど。

1971年製作/アメリカ
原題:Get Carter
配給:MGM
劇場公開日:1972年2月11日

ストーリー

フレッチャー兄弟率いるロンドンの地下組織のメンバー、ジャック・カーター(マイケル・ケイン)は、情を通じていたボスの妻アンナ(ブリット・エクランド)と南米へ逃げ出そうと策していた。その矢先、故郷のニュー・キャッスルにいる兄のフランクが自動車事故で死んだ、という報を受けた。カーターはこの兄の死に疑惑を抱き、真相追究のためニュー・キャッスルに急行した。兄の娘ドリーンや、兄の同僚からは、さしたる情報は得られなかったが、火葬場での礼拝式の途中、フランクの愛人だったマーガレットが姿を見せ、女は翌日の再会を約した。カーターは情報集めに、昔の仲間アルバートを捜した。競馬場で見かけたチンピラ、エリック(イアン・ヘンドリー)をつけたカーターは彼のボス、キニアー(ジョン・オズボーン)の館におもむき、接待の女グレンダから、フレッチャーとキニアーが気脈を通じていることを知った。組織はカーターを町から追い払おうと手を打ってきた。マーガレットに再会したカーターは、彼女の虚言を見破ったが、フレッチャーの部下の攻撃を受け、危ういところをグレンダに救われた。グレンダが紹介したブルンビーは、カーターを勢力争いの具に用いんと図ったが、カーターは簡単にこれを見破った。そのあとカーターはグレンダの部屋で、ドリーンが写されたブルーフィルムを発見した。カーターはグレンダを、このブルーフィルムについて問い詰め、エリックがアルバートを脅し、フィルムを撮り、これを見て警察へ訴えようとしたブランクをエリックたちが事故に擬装して殺害したことを聞き出した。カーターの冷酷無比な復讐が始まった。まずアルバートを、そしてブルンビーを消し、嘘をついたマーガレットは麻薬で処分された。キニアーの館は警察に踏み込まれ、キニアーは逮捕された。最後にフランクやドリーンに直接手を下した元凶エリックを浜辺に呼び出し、殺害して海へ捨てた。だが、そのカーターをライフルの照準がピタリととらえていた。

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映画レビュー

4.0公開50周年を迎えた英国映画の秀作

2021年12月31日
PCから投稿

本作の誕生から今年で50周年。当時30代後半だったマイケル・ケインの代表作であり、BFIによる「20世紀の偉大な英国映画TOP100」で16位に輝くという高評価を受けながら、しかしなぜか日本では圧倒的に知名度が低いという、如何ともしがたい現状がある。背景を彩るのは70年代のニューカッスル。港湾都市ならではの生々しい街並みが広がる中、兄を殺されたケインが腹の底に怒りを燃やしながら隠された真相へとにじり寄っていき・・・。アクションで牽引するタイプのギャング映画かと思いきや、意外なほどプロットが複雑で、登場人物も盛りだくさん。さらには裏社会のダークな方向へ舵を切っていくあたりも、単純明快に楽しめるというよりはむしろ、かなり苦味を帯びたハードボイルドと呼べそうだ。その魅せ方、容赦のなさ、モラルを超越した主人公の人間性は、どこをとっても凄みでいっぱい。この時代のケインはやっぱり切れ味バツグンである。

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牛津厚信
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