地獄の一丁目

解説

ローランド・ブラウンの小説をジョージ・ローズナーが脚色し台詞をつけ、「坊や」「流行の 児」のアーチー・L・メイヨが監督に当たり、チック・マッギルが撮影したものである。主演者は「西部戦線異状なし」「接吻」のルイス・エイヤースでチャールズ・ジューデルス「棘の園」のドロシー・マシューズ、レオン・ジャニー、「サンダーボルト(1929)」のロバート・エリオット、ジェームズ・キャグニーその他が助演している。

1930年製作/アメリカ
原題:The Doorway to Hell

ストーリー

ルイ・リカルノは若いけれども腕があるので暗黒街の仲間からは頭目株として立てられていた。ビール密売の縄張り争いで殺傷沙汰が耐えないのを見かねた彼はある時、反対派を残らず呼んで機知と度胸を持って統一しその首領に推された。だがこのとき既にドリスという女に恋を感じていたルイは自ら身を引いて首領を辞しドリスを伴って新婚旅行に立った。途中かねて入学させてあるたった1人の弟を陸軍幼年学校に訪ね、フロリダに赴いた。彼は静かなフロリダの宿舎で己が数奇な過去を執筆する心組みでいた。ところが妻になったドリスという女は実はルイの兄弟分たるスティーヴの情婦で2人はグルになってルイを欺いているのであった。ルイの出立後、再び密造者仲間にもめ事が起こりだんだん統一を欠いて来たので仲間はルイに帰京を促した。しかしルイは拒絶した。彼を呼ぶため囮に使おうと仲間の1人は幼年学校の弟を連れだそうとしたが誤って彼を貨物自動車でひき殺させてしまう。この悲しい知らせはフロリダにあるルイのもとへ飛んだ。いったんは固く暗黒街生活から足を洗う決心までしたルイであったが、弟の死を聞くとともに激しい怒りを覚え、復讐を誓って彼は都へ帰った。スティーヴと再び会ったドリスはルイを追っ払うためにジェットという仲間の1人を殺してルイになすりつけようとしたがこれは敏腕探偵として名あるバット・オグラディの発見するところとなりかえって彼等の罪が露見した。しかしルイは弟を誤って殺した密造者スリム殺害の罪によって収監された。ルイはスリムの仲間から狙われていることを知らなかった。そしてある時、仲間から合図を受けたルイはこれがスリム一派の策略であるとも知らず厳重な監視の中を脱獄して1アパートに身を隠した。彼の脱獄は号外となって街を騒がせ彼の隠れ家には探偵パットが姿をあらわしたが、それは彼を捕らえるためではなく、彼がスリム一派の罠にかかり、今や彼等の罠に陥っている危険を告げるために来たのであった。だが弟の仇を果たし心残りとする何者をも持たぬルイはならず者の首領らしく泰然として敵方の矢面に身を晒し生命を落としたのであった。

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