情熱の航路

劇場公開日:

解説

「ステラ・ダラス(1925)」の原作者オリーヴ・ヒギンス・プラウティの小説から「海賊ブラッド」「流行の女王」その他ワーナー・ブラザース脚本陣にあって活躍しているケイシー・ロビンソンが脚色し、「姉妹」その他同社の台詞監督だったアーヴィング・ラパーが演出に転じて監督に当たっている。撮影は古くから同じくワーナー・ブラザースにあって活躍しているソル・ポリート、プロデューサーは「ラインの監視」と同様ハル・B・ウォリスである。主演は「ラインの監視」のベティ・デイヴィスと「カサブランカ」のポール・ヘンリード。これに「カサブランカ」「幽霊ニューヨークを歩く」のクロオレインズ、「噫初恋」「この三人」等のボニタ・グランヴィル、「淑女と拳骨」に出演した作者兼講演家兼女優のイルカ・チェイス、英国劇壇に著名な女優グラディス・クーパー、「ラインの監視」の新進子役ジアニス・ウイルスンが助演するほか、ジョン・ローダー、リイ・パトリック、フランクリン・パングボーンその他が出演している。

1942年製作/アメリカ
原題:Now, Voyager
配給:セントラル映画
劇場公開日:1946年8月

ストーリー

ボストンの名望家、ヴエール家の娘に生まれたシャーロッテも、その少女時代を専制的な母親と神経病のために不幸に過して来たのであった。しかしジャクイス医師の親切な治療と義姉の聰明な取扱いとによって、今ではほとんど神経病の跡をとどめぬまでに治癒していたので、彼女は許されて初めて漫遊旅行に旅立ったのであった。その船中で彼女はジェリィ・デュランスに逢い2人はやがて激しく愛し合うようになった。しかしながら2人は結婚によってこの愛を完成させることが出来ないのであった。というのは、ジェリィには既に妻があり、シャーロッテと同じように不幸な少女時代を過している神経病の娘さえあったのである。シャーロッテはジェリィと美しく別れて旅から帰ると、間もなくエリオット・リビングストンと婚約をした、けれど彼女にはジェリィへの愛情がたち切れず思いきってエリオットとの婚約を破ってしまった。しかしこのことは彼女の母親を怒らせ、ついに2人の間に激しい口論が起り、その結果シャーロッテの母親のヴェール夫人は心臓マヒで急死してしまった。その悲しみのためシャーロッテは神経発作に再び襲われる身となって、ジャクイス医師の診療所に病を養うことになった。この診療所で計らずも彼女はやはり療養しているジェリィの娘ティナに出逢った。シャーロッテは同病のこの少女に憐みと愛情を傾けるようになって、自分の全快祝はティナを我が家へ伴って帰って、自からこの少女の療養に手を貸した。やがて1人の少女へ注がれる同じ愛情によってジェリィとシャーロッテは以前の激しい情熱を通り越した静かなしかし深い友情によって永久に結ばれることになった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第15回 アカデミー賞(1943年)

受賞

作曲賞(ドラマ/コメディ) マックス・スタイナー

ノミネート

女優賞 ベティ・デイビス
助演女優賞 グラディス・クーパー
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映画レビュー

4.0ベティ・デイヴィスが輝く素敵な映画

2022年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ベティ・デイヴィスがみすぼらしい病人から華やかなレディへと見事な変化を見せながら、内面でも弱い女性から強い女性になっていく姿を見事に演じた佳作。

さすが本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされただけある相変わらず素晴らしい演技。
まぁ、ベティ・デイヴィスはアカデミー賞に10回ノミネートされて、うち2回は主演女優賞を獲得したので、当時の常連スター。

この映画、やたらと娘にキツく当たる母親(グラディス・クーパー)のもとで精神を病んだ娘(ベティ・デイヴィス)が気の毒に思えるところから始まる。
そして、その娘は精神科医(クロード・レインズ)の療養所で治療して、大きな客船で旅をすると船で出会った男(ポール・ヘンリード)と愛し合うようになるのだが、彼は妻子があった。
恋をしながら、自分に自信を持って生きるようになったベティ・デイヴィスが着るドレスは、本当に華やかで綺麗。

1本の映画で演じた女性の振り幅の大きさが、そのまんまベティ・デイヴィスの色々な映画で演じる役の振り幅の広さと通じるように見える。

また、この映画で、ポール・ヘンリードとクロード・レインズが共演しているので『カサブランカ』みたいだな……などと思っていたら、本作は1942年作品。
なんと『カサブランカ』と同じ年に製作されている共通点。
同じワーナー作品でもあり、不思議な感じがした。

個人的に感動したのは、ベティ・デイヴィスがポール・ヘンリードに言う「ジェリー、月は要らないわ。星があるじゃない」というセリフが、心に残る素晴らしさであった。
「ロマンティックなんだな、これが……」などと思ってしまう。

序盤は少し戸惑ったものの、なんとも素敵な映画であった。

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たいちぃ
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