サラアと其の子

解説

「ダミー」「医者の秘密」のルース・チャッタートン嬢が主演する映画でティモシー・シイ氏原作の小説をゾー・エイキンス女史が脚色し「底ぬけ騒ぎ」「マンハッタン・カクテル」のドロシー・アーズナー女史が監督したもの。主演者のほかに「嫉妬」「撮影所殺人事件」のフレドリック・マーチ氏、「喝采」のフラー・メリッシュ・ジュニア、「熱沙果つるところ」のギルバート・エメリー氏、「彼と女優」のドリス・ロイド嬢、ウィリアム・スタック氏、「アンナ・カレニナ」「四人の悪魔」のフィリップ・デラシー君等が助演している。キャメラは「店曝らしの天使」「レビューのパリっ子」のチャールズ・ラング氏が担当である。

1930年製作/アメリカ
原題:Sarah and Son

ストーリー

貧しい唄い手サラア・ストームに子供が生れた時、良人のジムはそれを2人の出世の邪魔者だと言った。そして苦しまぎれに彼はアッシュモアという金持から金を引き出そうとして失敗する。サラアは良人の懶怠とその卑しい行いを責める。ジムはこれを怒ってサラアへの腹いせから子供ボビーを抱いて行方を晦ましてしまう。4年後、寄席芸人としてのサラアが海軍病院に慰問の歌を唄った折、彼女は計らずもそこにジムを発見する。しかし彼女が子供ボビーの行方をたずねた時、ジムは「アッシュモア」という一言を残して此の世を去る。サラアは自分を恋しているヴァニングという弁護士からアッシュモアの住居を聞き早速その邸へ子供の安否をたずねにゆくがアッシュモア夫人はジムの遺言を否定して自分の邸にそんな子供はいないと言う。夫人と兄妹の関係にあるヴァニング弁護士も夫人の言葉を信用し、また例えその邸に預けられているとしても真実子供が可愛いならは邸に育てさせて置く方が子供のためにもよいではないかとサラアをさとす。サラアはそこで音楽修業を決心して欧州に渡る。再び米国へ帰って来た彼女はすでに一流のオペラ・シンガーとなっている。いよいよ子供をアッシュモア家から引取ることに交渉をすすめるがアッシュモア夫妻は唖の子供を換え玉に使って彼女を断念させようとする。サラアはその子供をボビーと信じて嘆き悲しむ。ヴァニング弁護士は彼女の気を換えるために田舎へ連れてゆく。其所でサラアは1人の少年に会うが彼女は何故かその少年に心をひかれる。モーター・ボートで遊ぶうちこれが実の我子ボビーであることを彼女は知る。ボビーは酷しすぎるアッシュモア邸を嫌ってこの田舎の別荘へ逃げて来たのである。子供の行方をたずねてアッシュモア夫妻が辿りついた時サラア母子の乗ったボートは大波のため転覆するがヴァニング弁護士の勇敢な行為によって母子は救われ楽しい生活に入るように取計らわれたのである。

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