「★ 激怒したのは観客の方じゃないのか」激怒(1972) みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)
★ 激怒したのは観客の方じゃないのか
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『パットン大戦車軍団』で、アカデミー賞主演男優賞の受賞を拒否した事で、一躍有名になったジョージ・C・スコットの監督処女作品だが、意外と平凡な出来だったのには驚いた。
軍の科学兵器MX3の実験ミスにより何の罪もない親子がその犠牲となってしまうが、兵器開発に関与する博士たちによればそれは不幸な事故にすぎず、貴重な研究の機会だとまで言ってのける。
スコットは国家の組織ぐるみの犯罪と言うものに、鋭いメスを入れてみたかったのかもしれないが、ターゲットがデカ過ぎてとてもワイオミングの羊飼いの手に負えるスケールではなかった。
もう最初から実験の関係者たちを血祭りに上げていく程度のお話に留めておくべきだったのでは。風呂敷を広げ過ぎたとしか思えない。
結局、自動車メーカーのショールームにしか見えなかった兵器工場(警備員が1人いるだけの閑散とした施設)を、ダイナマイトで木っ端微塵に吹っ飛ばしただけじゃん。
最愛の息子を死なせているのに、その怒りの度合いが中途半端なもんだから、彼の復讐にも感情移入が出来ない。
スコットの鬼気迫る演技ってどこだったの。
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