劇場公開日 1959年9月9日

決断のレビュー・感想・評価

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4.5人の心の機微

2019年11月18日
PCから投稿

興奮

幸せ

現代に置き換えても通じる話。
 あ、でも、逮捕=死刑のような、裁判はあれど、証拠をしっかり吟味するような過程のない頃だからこその話でもある。
 現代だったら、かえって裁判を受けた方が身の潔白を証明できる場合もあるけれど、この時代は、証拠を吟味することなく、陪審員の印象で罪が決まってしまう、恐ろしい頃の話。。リンカーン暗殺裁判を扱った映画『声をかくす人」でも、結論ありきの裁判だったっけ」

殺人者を憎む男。
 一抹の希望=人は信じるに値するものである、たとえお金を積まれても大切な人の気持ちを裏切らない人もいる、を信じたくて、何度も裏切られた男。
 そんな殺伐とした内面を抱えながら、街の住民の非難の眼・反抗的な態度の中、任務を追行できるのか。

恋した男に裏切られ、場末の重労働に従事している女。
 そんな環境から抜け出せる”蜘蛛の糸”のような美味しい話。
 女の行動。裏切られた腹いせを果たすのか。

容疑者。この街では誰も彼のことを悪くいうものはいない。
 果たして、ハングマンの見込み違いなのか、犯人なのか。

そんな三つ巴のハラハラドキドキがいい塩梅にストーリーを進めていく。

コメディタッチの老婦人。
杓子定規で緊張を孕んだ展開に、いい具合に適当さを加える保安官。
容疑者に遺恨を残す人物や、容疑者に心酔しているものまでが、かってに動き出し、
この先どうなるのか、ハラハラ魅せてくれる。

終始、杓子定規で、紳士然とし、実績があり、いつの間にか上から目線の言動が多いハングマンが、周りに振り回される様がおかしい。それでいて、最後は格好良く決めてくれる。

大金の報酬につられてきただけではないだろうと思わせる女ぶり、それでいて身なりを整えられない悔しさ・身の置きどころのなさをにじませ、その心の動きをたっぷり感じさせてくれる。そして彼女が選んだ行動は…。幸せを祈らずにはいられない。

”西部劇”というくくりの中では異論もでそうな気がするが、主人公とヒロインの攻防が緊迫したものであると同時にコメディで(笑)。

文句なしの一本。

(東京国際映画祭 屋外上映にて鑑賞)

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とみいじょん