黒いジャガー アフリカ作戦

劇場公開日:

解説

ニューヨークの黒人私立探偵ジョン・シャフトが主人公の『黒いジャガー』シリーズ3作目。今回はアフリカ黒人奴隷秘密組織に挑むシャフトの活躍を描く。製作はロジャー・ルイス、監督はジョン・ギラーミン、脚本はスターリング・シリファント、撮影はマルセル・グリニョン、音楽はジョニー・ペイト、編集はマックス・ベネディクトが各々担当。出演はリチャード・ラウンドツリー、フランク・フィンレイ、ヴォネッタ・マギー、ネダ・アルネリック、デベベ・エシェトゥ、スピロス・フォーカス、ジャック・エルラン、ジョー・ジェンキンスなど。日本語版監修は清水俊ニ。メトロカラー、パナビジョン。1973年作品。

1972年製作/アメリカ
原題:Shaft in Africa
配給:メトロ映画
劇場公開日:1973年11月10日

ストーリー

パリを根城に、黒人奴隷売買の一団が暗躍していた。アフリカから若者たちをごっそり連れてきて、前貸で身体を縛り、ヨーロッパ各地で苛酷な条件で働かせていた。この事実を察知したアフリカ連合の指導者でニューヨーク在住のエミール・ラミラは、息子をパリに送って一味の正体を突きとめようとしたが、若者は一味に捉えられ、殺された。彼は死の間際に、手錠で石壁に何かを彫り付けた。一方、ニューヨークでは、黒人私立探偵ジョン・シャフト(リチャード・ラウンドツリー)が、彼のアパートで何者かに襲われ、麻酔薬を打ち込まれて連れ去られた。実は、これはラミラの手荒なテストだったのだ。シャフトの機知と強さに惚れ込んだラミラは、黒人奴隷売買の事実を打ち明け、報酬2万5千ドルで捜査に協力するよう申し出た。仕事は、現地で一味の黒人労働者募集に応じ、奴隷になりすまして密輸ルートを探り、パリの本拠地を突きとめる、という危険なものだったが、シャフトは引きうけることにした。まず、ラミラの種族マンタ人になるために、シャフトは、言葉や風習などをラミラの美しい娘アレメ(ヴォネッタ・マギー)から教わったが、愛の手ほどきの方も抜け目なかった。だが、このシャフトの動きは敵方に筒抜けだった。実はラミラの参謀ワッサ(デベベ・エシェトゥ)が敵に通じていたからで、シャフトは、危険な旅の第一歩、パリ空港で早速命を狙われたが、彼をひそかに護衛していたエチオピア秘密警察のゴンダー大佐の部下に救出された°一味の首領アマフィ(フランク・フィンレイ)から、この失敗をきつく叱責され、ワッサはアジスアババでは必ずシャフトの息の根を止める、と約束した。アマフィには、セックス過剰の情婦ジャザール(ネダ・アルネリック)がいつも付きそっていた。一方シャフトは、エチオピアの首都アジスアババでゴンダー大佐に会い、マンタ人に変装、小型テープレコーダーを持って旅立った。その後、幾度か刺客に襲われたが、何なく敵を倒していった。何も知らない黒人たちに混って、トラック、次いでラクダの旅が続いた。この間、シャフトはカメラやテープレコーダーに証拠となるものを納めた。一行はエルジャルディアの港に着いた。相次ぐ失敗に苦り切ったアマフィは、自ら出向いて必ずシャフトを殺すようワッサに命じ、情婦ジャザールの希望を容れて、彼女の同行を許した。黒人たちはバンデンのヨットに乗せられた。船内で、ジャザールは体格のいいシャフトを誘ってベッドを共にした上、裏切者ワッサがシャフトを狙っていること、一味のボスがアマフィであること、などを語った。果たしてシャフトは、ワッサたちに攻撃され、彼らを次々に倒したが、ジャザールは彼の身代りになつて死んだ。パリに着くと、シャフトはパリ警察に捜査結果を報告するとともに証拠のフィルムやテープを渡し、アマフィの居所を突きとめると、アレメと一緒にその場所に向かった。が、そこにはアマフィは居らず、計らずもアレメの兄が手錠で石壁に残した文字から、一味の本拠地がシャトー・モンフォールであることを知った。シャフトはパリ警察との連絡にアレメを残しモンフォールに駆けつけた。案の定、そこの地下牢には黒人たちが閉じ込められていた。しかも、アマフィは警察の手が廻ったことを知って、黒人もろとも地下牢を爆破しようとしていた。一味の必死の抵抗が続いたが、シャフトと地下牢を破った黒人たちとの協力はついに彼らを滅ぼした。恨み骨髄の黒人たちはアマフィを担ぎ上げて泉水に沈め、シャフトは悪の根城を爆破した。しばらくして、シヤフトはニューヨークに向けて機上の人となっていた。そこにはアレメが待っていた。(メトロ映画配給1時間53分)

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5横道に逸れても目的達成

2020年5月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「黒いジャガー」の三作目。アフリカの黒人をフランスに密輸するマフィアの奴隷売買を探るため、自ら奴隷に紛れ込んで黒幕を暴く仕事に活躍するシャフト。ジェームズボンドの黒人版を狙ったコンセプトだろうが、アクション映画としては未消化。棒術シーンも今一盛り上がらず。監督ジョン・ギラーミンはこの後「タワーリング・インフェルノ」で才覚を発揮する。

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Gustav

4.0シリーズ3作目、監督交代でパワーアップ

2018年7月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

第2作とは段違いに面白い

単に連続してヒットしたから、次作はパーッと海外ロケでも行こうぜ!程度のスカスカ作品と思って全く期待せずに見たが実に面白い
クレジットを見ると前2作の新人監督ゴードンパークスから交代して、一流監督ジョン・ギラーミンになっていた。こうも変わるものか
確かに海外ロケはフランスとエチオピアの2ヶ所で敢行して、現地の役者もいろいろ使っているようだ

娯楽作品として十分楽しめるが、本作はそれにとどまらず単なるブラックプロイテーションムービーを超えて政治的メッセージ性すら発しているところに注目したい

内容は2018年の現代に於いても、さらに前代的テーマだ
2018ワールドカップでフランスが優勝した
なぜフランスにあんなに黒人がいるのか?
その答えは1972年の本作に描かれている
本作では主人公の活躍で現代版奴隷貿易の一組織は壊滅したが
全く本質的構造はいまも変わっていない
より大規模に巧妙になっているのだ

70年代初頭から中盤までアメリカの黒人運動はアフリカとの連帯、憧れ・回帰を標榜していた
肌の色が同じ、ルーツが同じといった感傷的なものなのかと思っていたが本作の前半で納得した
黒人による黒人の国家がアフリカにはある
アフリカ大陸の黒人のエリートはそのまま黒人国家のエリートなのだ
そこが米国における黒人達とは違うことを映画の中で画として見せてくれた

単に黒人のヒーローが悪い白人たちをブチのめしてスカッとする娯楽映画を飛び越えて、現在の移民=現代の奴隷貿易であり、その構造を破壊して先進国の黒人搾取をやめさせ、黒人が誇りを持てる国家を黒人自身で建設する
そのために先進国アメリカで生きる黒人が発展途上国のアフリカの黒人達を手助けしよう
これが本作のテーマだ。単なる娯楽映画ではない

ドキュメント映画ソウル・パワーで描かれる、74年ザイールでのJ.ブラウンをはじめとする米国黒人アーティスト達による現地ライブも同様の文脈で行われたものだ
しかし70年代後半になるとこの主張も急速に下火を迎える
何故なら現実のアフリカ黒人達は本当に発展途上国の人々で文明的ではなかったからだ
アメリカの黒人達は自分たちは文明国に生まれ育っており、彼らと肌の色が同じだから、ルーツが同じだからでは連帯できない
そんな甘い物ではないことを思い知ったからだ

故に黒人映画は、米国に於ける自分達の歴史に目を向ける方向に向かっていくのだ

本作では黒人主人公と白人の女性との性交シーンがある
おそらく本作公開の5年前なら大問題になって、特に南部では公開禁止とかになってもおかしくない
いずれにせよ72年でも時代は大きく変わっていたのだ

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