可愛いマーカちゃん

解説

「ブルースを唄う女」「坊やが盗まれた」のアレクサンダー・ホールが監督した映画で、「一日だけの淑女」の作者デーモン・ラニョンの原作を「路傍」のウィリアム・R・リプマン及びサム・ヘルマンが「明日なき抱擁」のグラディス・レーマンと共同して脚色に当ったもの。主なる出演者は「喇叭は響く」「戦場よさらば」のアドルフ・マンジュウ、「波止場の天使」の故ドロシー・デル、「新世紀」「ビール万歳」のチャールズ・ビックフォード、フォックスの子役スター、シャーリー・テンプルで舞台俳優のリン・オヴァーマン、ウォーレン・ハイマー、サム・ハーディ等が助演している。撮影は「坊やが盗まれた」「荒浪越えて」のアルフレッド・ギルクスの担当である。

1934年製作/アメリカ
原題:Little Miss Marker

ストーリー

スチーヴはナイトクラブを経営する傍ら、自分の持ち馬「夢の王子」を使ってインチキ競馬をして儲けていた。即ち「夢の王子」の人気を煽って置いて負けさせ、掛金を没収するという遣り口だった。彼と気脈を通じている競馬屋「沈み屋」ジョーンズもその一人だった。或日一人の男がジョーンズに掛金廿弗の借用を申出て、その抵当に小さい娘を置いて行った。競馬は予定通りに「夢の王子」の負けだった。娘を置いてった男は帰って来なかった。ジョーンズは翌朝の新聞でその男が自殺した事を知った。人質の娘はよくジョーンズになついてナイトクラブの人気者となる。人質だったというので人々はマーカちゃんと呼んで可愛がった。彼女はアーサー王の噺が好きで、ジョーンズ初め周囲の者に噺に出て来る人物の名をつけて喜んでいた。そして毎夜ジョーンズにアーサー王の噺を読んで貰った。「沈み屋」と云われたジョーンズもいつか此の無心の少女を我が子の如く愛する様になった。スチーヴは或る事件で持ち馬の出場を禁止されたので、「夢の王子」の偽の持主を作る事となり、マーカちゃんをその持主とし自らはシカゴに姿を隠した。或夜スチーヴの情婦で唄い女のバングルズがジョーンズを訪ねて来て、丁度だだをこねて居たマーカちゃんを寝かせ乍ら一緒に寝込んで了った。それから彼女はマーカちゃんが可愛くなり、マーカちゃんが取持つ縁となって女嫌いの吝嗇家だったジョーンズはバングルズを愛する様になった。然し親分の女に対して彼は積極的に求愛は出来なかった。バングルズは或夜アーサー王仮装の宴会を催したが、スチーヴは裏切者が出たとの報を得てその場に乗込んで来た。その凄い意気込みにマーカちゃんが乗っていた馬が暴れ、彼女は落馬して気絶した。病院に運ばれた彼女には輸血が必要だった。ジョーンズもバングルズも仲間の誰もマーカちゃんの血液とは違い、スチーヴの血液だけが同型で、彼女はスチーヴの輸血で甦った。そしてスチーヴはこの娘を囲むジョーンズとバングルズの心が結ばれているのを見自らは可愛い少女の命を救った事に満足して、バングルズを「沈み屋」ジョーンズに委ねて、潔く彼等から離れて行った。

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