怪僧ラスプーチン(1932)

解説

アメリカ劇団の王家と称せられる3兄弟、ライオネル、エセル、ジョンが顔合わせての主演映画で「犯罪都市(1931)」の共作者チャールズ・マッカーサーが書き下ろした台本により、モスクワ芸術座出身の演出家リチャード・ボレスラウスキーが監督に当たり、「グランド・ホテル」のウィリアム・ダニエルが撮影した。助演者は「男子戦わざるべからず」のダイアナ・ウィンヤード、「散り行く花」のラルフ・モーガン、「コンゴ」のC・ヘンリー・ゴードン、少年俳優タッド・アレクサンダー「ジェニイの一生」のエドワード・アーノルドなどである。

1932年製作/アメリカ
原題:Rasputin

ストーリー

ロシア皇帝ニコライ2世がモスクワでロマノフ朝300年祝祭をあげて家運長久を祈った都市の夏、ツァルスコエ・セロの夏宮の甥で1粒種の息子アレクセイがふとした怪我が原因で危篤に陥った。皇帝の信任篤い近衛隊長ポール・チェゴディエフ公はウイーンの名医ウォルフ博士を招聘するので国境まで出迎えに赴いた。ポールの恋人で皇后の内侍ナタシア公女はそのころ奇跡の神父と評判された僧侶ラスプーチンを宮廷に伴って来た。医薬も効を示さないのにラスプーチンの怪しげな催眠術は不思議と効き、ウォルフ博士が来た時には、子煩悩の皇后は全然ラスプーチン信者となり名医の診察も却けてしいまった。かくてラスプーチンは朝廷に於ける信任を一挙につかみ、その勢力は日ごとに進展した。彼は野心を遂げるために、私利私欲のみを慮る好臣共を己が腹心として閥を張った。これを憂慮したポールは一度はラスプーチンに忠告したが入れられず、遂に非常手段に訴えんと決心して1夜ラスプーチンを訪れて射殺せんとしたが、防弾チョッキを着ていたラスプーチンは死を免れた。彼を聖僧と信じてその夜ポールが襲うことを知らせに来たナタシア公女はラスプーチンのために処女を奪われた。翌朝ナタシアはことの次第を皇后に訴え様と考えて出仕したが、皇后の健康がラスプーチンの手中にあることを目のあたり示されて、涙を呑んで沈黙を守った。一方ポールは銃殺の形を覚悟していたが、彼を愛される皇帝はその官職を免じて宮廷から追放したのみであった。かくてラスプーチンの勢力はますます加わり、遂に躊躇する皇帝に上、皇帝を戦線に赴かせてしまった。そのころすでに宮廷を住居にしていたラスプーチンは1夜マリア王女をも犯さんとしたがナタシアに妨げられたので、ナタシアを催眠させたところへ皇后が来合わせた。昏睡からさめたナタシアはことの次第を皇后に言上した。しかし不敵なラスプーチンは皇后を嘲弄して退去するのみであった。皇后はナタシアを抱きながら、初めてラスプーチンの正体を知り、またポールを却けたことを後悔して、ナタシアにポールを召し連れよと命じた。病院でポールは皇后に拝謁し、ラスプーチン誅殺を引受た。かくてポール・チェゴディエフは憂国の友を語らって、偽ってラスプーチンを誘い寄せ毒害せんとした。ところが悪魔のごときラスプーチンは容易に倒れなかった。2人は地下室で大格闘を演じ、毒に犯されているラスプーチンはついに倒れるが、なお死なないので、ポールはネヴァ河の結氷の裂け目に彼を沈めたのであった。

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