女の名誉

解説

「サラアと其の子」「夫無き妻」に次ぐドロシー・アーズナーの監督作品で、原作及び脚色はオースティン・パーカーの筆になり台詞は同氏がガートルード・パーセルと共同であたった。主なる出演者は「踊り子夫人」「名門芸術」のフレドリック・マーチ、「恋愛四重奏」「屠殺者(1930)」のクローデット・コルベール、新進のモンロー・オーズリー、「喧嘩商会」「女は嘘つき」のチャールズ・ラグルズ、「三太郎大西洋横断」「喧嘩商会」のジンジャー・ロジャース等で、撮影は「名門芸術」「踊り子夫人」のジョージ・フォルシー担任。

1931年製作/アメリカ
原題:Honor Among Lovers

ストーリー

ウォール街の実業家ジェリー・スタフォードは女秘書のジュリア・トレイナーを秘かに愛していたが、彼女は若い株式仲買人のフィリップ・クレイグと相思の仲だった。スタフォードはジュリアがクレイグと結婚したことを知って嫉妬のあまり彼女を解雇した。しかし新婚の2人がたちまち困るだろうと考え、クレイグに株の売買を依頼して儲けさせてやることにした。その後クレイグはジュリアには内緒で投機に手を出し始めた。彼は一獲千金を夢みて友人モンティー・ダンの忠告も聞かずに生糸相場の思惑をやったところ、その思惑が外れて損をしたためその穴埋めにスタフォードや他の人から預かっている金を流用してしまった。その尻がわれれば彼は委託金費消の罪を被らねばならない。この事を知ったジュリアはスタフォードに事情を打ち明けて助けを乞うたので彼はクレイグの急を救うために彼女に小切手を与えた。翌朝妻からこの小切手を示されたクレイグはてっきり彼女がスタフォードに貞操を売ったものと誤解し、厳しくこれを責めたてたので彼女は溜まらずにワシントンへ行ってしまった。スタフォードが妻を隠したと邪推したクレイグは血相を変えてその邸に乗り込みピストルを突きつけて威嚇中誤って発射しスタフォードを傷つけた。スタフォードは誤って自ら傷ついたと警官に説明したが、クレイグは警察へ拘引された。警察でクレイグはジュリアがかねてスタフォードに捨てられたのを恨んでの凶行だと陳述したので彼女は捕らえられて良人と対質させられた。彼女と2人限りになった時クレイグはいっさいを彼女に告白して助けを乞うたが、その告白はあらかじめ室内に装置してあった写音機に記録されたので真犯人はクレイグである事が判った。しかし公判の際スタフォードは被告に有利な証言をしたためクレイグは無罪放免となったが、彼の卑劣さに愛想をつかしたジュリアはクレイグと離婚し、真に彼女を愛するスタフォードと共にフランスへ旅行することになった。

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映画レビュー

4.5ドロシー・アーズナー監督の楽しい恋愛映画

2022年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。

ドロシー・アーズナー監督作品を観るのは7作目。
本作は、クローデット・コルベールとフレドリック・マーチによる喜劇的でもある楽しい恋愛映画。
ジンジャー・ロジャースが超脇役として出演しているが、彼女が殆どセリフも無く、「頭の弱い女」を演じていたのが笑える…(笑)

ある会社の経営者スタンフォード(フレドリック・マーチ)と彼の優秀な秘書ジュリア(クローデット・コルベール)は仕事上のツーカーの仲。
だが、実はお互いに好意は持っているものの、恋愛へは発展しない。
それでもダンスホールで二人が踊る姿は親密に見えて、「(彼女を好きな男が)“殺すぞ”って顔で二人を見ているぞ…」とスタンフォードが言うのは笑える。

少し年輩男の恋人ドリスが高級レストランで「キャビアって何?」などとアホのような質問をするのだが、この女性がジンジャー・ロジャース。
セリフが少ないだけでも気の毒なのに、ちょっとだけあるセリフがこれ…(^^;

スタンフォード氏と親密に見えた秘書ジュリアは、彼女を好きなフィリップ(モンロー・オーズリー)と突然結婚。ジュリアは秘書をクビにされる。
そして、年月が経ち、ジュリアの夫フィリップがシルク投資で大損。しかも自分の金ではなく、スタンフォード氏などから預かっていた証拠金など他人の金。
夫が刑務所送りになるのを何とかしようとジュリアは、スタンフォードに金のお願いをして、小切手を受け取る。
ジュリアの夫は「小切手をタダで渡す男なんて居ない!スタンフォードに身体を売ったな!」と妻を疑う夫は、スタンフォード邸に行き、スタンフォードに銃を向ける……となかなか凄い展開。

このドロシー・アーズナー監督作も、見事で楽しい映画であった。

特集上映の序盤で『恋に踊る』を観たことで「この監督は全部観たい」となって、今回のシネマヴェーラ特集上映で上映されたドロシー・アーズナー監督作品は『血と砂』(ノンクレジットで監督)含めて、全て鑑賞した。

ドロシー・アーズナー監督は、今後も機会があれば(一度観た映画でも)観たい監督の一人となった。

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たいちぃ
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