大鴉

解説

「黒猫」と同じくボリス・カーロフとベラ・ルゴシが主演する怪奇映画で、エドガー・アラン・ポー作の詩に取材し「美人探し」のデイヴィッド・ポエムが脚色し、「流星二丁拳銃」「百雷猛獣島」等の連続映画監督者たりしルイ・フリードランダーが監督に当たり、「倫敦の人狼」「魔のボムベイ特急」のチャールズ・ステューマーが撮影している。助演者は「倫敦の人狼」のレスター・マシュース、「ボクは芸人」のアイリーン・ウェーア、「シーコウヤ」のサミュエル・S・ハインズ、イネズ・コートニー、スペンサー・チャータース等である。

1935年製作/アメリカ
原題:The Raven

ストーリー

リチャード・ヴォリン博士は医界の権威者だったが、エドガア・アラン・ポオの小説に熱中の余りに時には狂人の様な言動をするのであった。サッチャー判事の愛娘、美貌の舞踊家ジーンはヴォリン博士の治療により一命を取り留め感謝していたが、ヴォリンは彼女に熱烈な恋をし始めた。しかしジーンは既にヴォリンの助手ジェリイ・ホルデンと許婚の仲であり、又ヴォリンとは年齢も違うので父サッチャーはヴォリンに心を翻す様交渉したがジーンをあきらめ兼ねたヴォリンと激しい口論がかわされた。ある夜ヴォリンの家を訪れる者があった。彼はベートマンと言う醜悪な顔の脱獄殺人鬼であった。彼は追われる身の人相を変えて貰うべく訪れたのであった。博士は期する所あってその求めに応じた。腕は確かなヴォリンは僅か10分で手術は終わった。しかしベートマンの顔は以前よりもっと凄い形相となっていた。ヴォリンは鏡の室に入れられて一層凶暴な相となった顔を見て狂うベートマンに言うのだった。「お前に一仕事して貰いたい。その事が完成次第要求どおりの美しい顔にしてやろう。」と。かくてヴォリンは週末の晩餐を開きジーン・サッチャー・ジェリイ等を招待した。その夜更けヴォリンは先ずサッチャーを捕らえてポオの小説「陥弄と毒刃」の中の拷問器の一つにかけ、次にジーンとジェリイを他の一室に投げ込んだ。その室は両壁が徐々に押し縮まって来てついには何者も押し潰してしまうのだった。余りの凄惨さにさすがのベートマンもたまりかね停止スイッチに手をかけた。その変心に怒ったヴォリンはベートマンを撃った。傷つきながら今は義心に燃えるベートマンはヴォリンと争いついにヴォリンを彼自身の作った圧殺の部屋に投げ込み、再び電流を通じるスイッチを押し、間一髪の危機を救われたジーン等の感謝の瞳に見守られて死んでいった。

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