海を嫌う船長

解説

「犯罪都市(1931)」「雨」「風来坊」のルイス・マイルストーンが監督した作品で「火の翼」の脚色者で大衆作家のウォーレス・スミスが自作の小説を自ら脚色したもの。出演者の主なるものは「肉弾鬼中隊(1934)」のヴィクター・マクラグレン、「クリスチナ女王」「街の伊達男」のジョン・ギルバート、「その夜の真心」のヘレン・ヴィンソン、「銀鼠流線型」のアリスン・スキップワース、舞台から映画入りしたフレッド・キーティング、「或る夜の出来事」のウォルター・コノリー、「不思議の国のアリス(1933)」のレオン・エロール、「彼女の用心棒」のウィン・ギブソン、「雨」のウォルター・カトレット、「恋をしましょう(1933)」のタラ・ビレル等である。撮影は「ますらを」「青空天国」のジョセフ・オーガストの担当である。

1934年製作/アメリカ
原題:The Captain Hates the Sea

ストーリー

米国太平洋岸のサン・ピドロを出て、パナマ運河を通り、ニューヨークへ行く定期船サン・キャパドア号には、妙な人間が乗り合わせている。映画脚本家を志して失敗して酒ばかり飲んでいる新聞記者のスティーヴ・プラムリー、15万ドルの公債を盗み出した大泥棒のダニー・チェケット、その公債の行方を探している私立探偵シュルツ、暗い過去を恥じているジュドック夫人とその夫、富める陽気な後家さんマグルーダー夫人、休暇中の図書館員と称するダニーの情婦で、盗んだ公債を預かっているジャネット・グレイスンなどである。シュルツはこの間の事情を知るや知らずや、ジャネットに惚れているダニーと正式に結婚するまでは公債は渡さない決心で、大胆にもシュルツの部屋の椅子の中に公債を隠したのである。ダニーは知らないので切りにジャネットに渡せと懇願したり、探したりするが見つからない。シュルツはまたダニーの部屋を探すという有り様である。ジェドック夫人はその闇の女としての前身を乗合の1等船客たちに知られ、夫に虐待されるのに耐え兼ねて投身自殺を図った。しかしシュルツが飛び込んで救い挙げた。このためにジェドックは半狂乱となり、ついに船中の牢に監禁される。シュルツはふと例の公債が自分の椅子の中にあるの発見して驚くが、彼はジャネットが牢破りのお尋ね者の女賊であることは、始めから知っていたのである。しかし彼女が正道に帰ろうとする意思があるのを知って故意に追求せず、また公債を取り戻した以上強いて罪人を捕らえる義務のない私立探偵たるシュルツはダニーを官憲に渡すのも見合わせる。船がニューヨークに入港する頃にはジェドックの精神状態も平衡にかえる、夫婦は和解する。公債を諦めたダニーは、若き燕にでもなるつもりか、それとも財産を狙ってかマグルーダー未亡人に敬意を表している。スチーヴは相変わらず酒を飲んでは憂鬱を隠していたが、紐育にはサン・ピドロで別れた恋人が先回りして出迎えていた。1人上機嫌なのはシュルツ探偵だ。

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